今季、北海道コンサドーレ札幌には3人の大卒ルーキーがいる。その一人がU-23代表の常連、田中駿汰だ。鹿島アントラーズとのトレーニングマッチでは3バックの中央で出場し、自身の持ち味を示した。

上写真=鹿島とのトレーニングマッチで3バックの中央を務めた田中駿汰(写真◎近藤俊哉)

■2020年3月21日 トレーニングマッチ(45分×2本) @カシマスタジアム
 鹿島 2-4 札幌
 得点:(鹿)町田浩樹、ファン・アラーノ
    (札)鈴木武蔵2、ジェイ2

冷静なプレーが光った

 1月にはタイで開催されたAFC U-23選手権に出場。さらに学業もあり、札幌のキャンプには途中合流となった。チームの始動からは1週間程度、『出遅れ』ることになった。そしてルヴァンカップ開幕戦でも、J1リーグの開幕戦でもベンチ入りは果たしたものの、結局、出番は訪れなかった。

 ポテンシャルの高さは誰もが認めるところ。出番を得るためのポイントは、札幌のコンセプトをいかに理解し、体現するかだ。田中は日々の練習からアピールに努め、コンディションを高めて、この日の鹿島とのトレーニングマッチに出場した。ポジションは、3バックの中央。

 とりわけ目を引いたのが、落ち着いたボールさばきである。鹿島の選手のたちのプレッシャーにも慌てることなく、高嶺朋樹や周囲の選手とのパス交換でボールを巧みに逃がしてみせた。最終ラインの要の位置で、その冷静沈着なプレーが光った。

 また、相手のボールホルダーへのアプローチとその場にとどまる判断にも迷いは見られなかった。札幌が取り組む守備の方法もしっかり消化している印象だ。周囲とのコンビネーションについてはさらに詰めていく必要はあるが、及第点の出来ばえと言える。U-23日本代表の森保一監督も評価する田中の冷静な判断と的確なプレーが、この日の試合でも随所に見られた。

「きょうは前からプレス、ハイプレスというのをチームとしてやってきたので、そこはうまくハマった部分が多かった。その点はよかったところかなと思います。ただ、ゴールキーパーからのビルドアップという部分ではちょっと詰まって蹴ってしまい、ボールを失う場面がありました。そこはもうちょっとポジショニングを考えないといけなかった。僕がパスを出したあとに動くことができれば、もうちょっとゴールキックからでもスムーズにつなぐことができたと思う。そこは、今後の課題だと思います」

 手応えを話す一方で、課題もしっかり口にできる。自身の現在地について聞けば、これまた冷静ば答えが返ってきた。定位置どりには、何が必要か。

「(チームとして)攻撃に人数をかけている分、うしろは同数で守っているので、しっかり負けない対人の守備能力を求められる。そこは自分も、もっと高めていかないといけないところ。ビルドアップももちろん大事ですけど、まずは守備という部分を意識して、これからはやっていきたい」

 札幌というチームでいかに自身のビルドアップ能力を生かし、守備能力を高めていくか。道は、見えている。

 現在、新型コロナウイルスの影響でJリーグが中断し、3月末の代表活動もなくなった。『東京オリンピックも通常通り開催できるか否か』と連日報道されている状況だ。そんな中でも、田中はやっぱり、冷静だった。

「(東京オリンピックが)延期になったらなったで仕方がないことなので。(3月の)代表活動がなくなりましたけど、チームでしっかりやるだけ。チームで試合に出て、代表で絡めるようにアピールできるよう、意識してやっていきたい」

 一歩一歩着実に、進むべき道をいく。その姿勢に、そしてこの日見せたプレーに、田中の強みが表れていた。


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