開幕戦を終えて中断中のJリーグだが、この連載では再開後のリーグ戦でさらなる活躍が期待される各クラブの注目選手を紹介していく。連載第18回は、ヴィッセル神戸のFW古橋亨梧について綴る。

攻撃に深さをつくり出す

画像: 2月19日のACL、アウェーの水原戦でも90分に決勝点をスコアした古橋(写真◎Getty Images)

2月19日のACL、アウェーの水原戦でも90分に決勝点をスコアした古橋(写真◎Getty Images)

 近年は包囲網の内側であれ、外側であれ、味方のパスを足元でもらい、そこから仕掛ける選手がやたらと目につく。もちろん、それが有効な場合もあるが、それ一辺倒では攻め手が広がらない。だが、神戸は違う。古橋が攻撃に絶えず「深さ」をつくり出すからだ。

 そのおかげでイニエスタもセルジ・サンペールも迷わず伝家の宝刀を抜くことができる。一発で敵の防御システムを骨抜きにする超絶スルーパスがそうだ。彼らにとって、わずかな隙間にボールをねじ込むことなど造作もない。そこにタイミングよく走る受け手がいれば、面白いようにゴールへの扉が開くわけである。

 あとは数あるチャンスを確実に仕留められるかどうか。昨季から今季にかけての古橋には、最後の仕上げに格段の進歩がうかがえる。古橋とはこういう選手――という見る側の先入観やイメージを、いい意味で壊してくれる人だ。だからこそ、下剋上のドラマに終わりがない。

 リーグの再開を待ついまも、粛々と自己の更新作業を進めているはずだ。再びピッチに立つや、怒濤のゴールラッシュが始まっても少しも不思議じゃない。この先、選手として、どこまで行けるか。25歳のいまが、サッカー人生の分岐点――と古橋自身は思っているかもしれない。

 いや、ゴールどころか、アシストも、リーグ初優勝も、年間MVPも全部持っていく。それくらいド派手なことをやってのけるだけの資格は十分にあると思う。と――言うか、古橋がそうなる姿を見たい。ぜひ、見てみたい。肩入れしたくなるのですよ、あの雑草魂に。そういう人、あっちにもこっちにもいるんじゃなかろうか……。

Profile
ふるはし・きょうご◎1995年1月20日生まれ、奈良県出身。興国高から中央大を経て、2017年にJ2のFC岐阜に入団。その活躍が目に留まり、J1の18年シーズン途中にヴィッセル神戸に移籍した。昨シーズンは31試合で10得点を記録。日本代表にも選出された。FW。170cm、63kg


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