上写真=キックオフカンファレンスで取材に応じるザーゴ監督(写真◎J.LEAGUE)
鹿島は結果を求められるチーム
チームは変革期を迎えた。監督が変わり、スタッフが変わり、積極的な補強を行なって、メンバーの顔ぶれも変化した。再び常勝チームとなるために、必要な変化ということなのだろう。
その中心にいるのが、指揮官のザーゴだ。アントニオ・カルロスの名で、現役時代には柏レイソルでプレー経験があえう。イタリア・セリエAのローマでもプレーし、世界も知る。指導者となってからはブラジルで複数のクラブを率いたほか、ローマやシャフタルでコーチも務めた。昨季はブラジルでブランガチーノをブラジル全国選手権の1部昇格に導いている。
「(鹿島での)最初の指導からボールをつなぐパスサッカーということを求めながら、正しいタイミング、状況で相手にアプローチをかけてプレッシングするということを目指しています。ボールを奪えば、アントラーズの選手たちの能力を考えたらチャンスを作ることができる。アントラーズは昔から主導権を握ってゲームをコントロールしていたチームです。そういうチームに再び戻すこと。サポーターも期待していると思うので、それを目指しながら、結果も出していければなと思います」
しっかり理想のサッカーがあり、結果も追い求める。二兎を追って二兎を捕らえる。鹿島の伝統とは無縁のようでいて、ジーコも太鼓判を押す指導者であり、鹿島がどういうクラブかをよく理解している。
とはいえ、いきなりすべてを変わるのは難しいものだ。ACLはプレーオフで敗退し、アジア制覇の夢は早々に絶たれてしまった。しかし、その状況を悲観してばかりもいられない。ザーゴ監督は言う。
「ACLのメルボルン戦には非常に短い準備期間で臨み、出場権を失ってしまったのは残念なのですが、チームづくりをする時間ができたということがメリットとしてある。それをしっかりとリーグ戦に向けて使いたい。連係というものを高められればと思っています」
ただでは、転ばない。すべてを成長・進歩の糧にして、進むのみ。
「スタッフが変わり、クラブ内部の人も変わり、選手も変わった。非常に難しいスタートの中で、一番重要だったのは選手たちの意欲でした。そして彼らは私の新しいやり方、哲学、指導法を吸収しようとしていた。その姿勢が、チームを変貌させる第一歩になっている。あとは、スタートダッシュが切れればなと思っています」
キックオフカンファレンスで発したその言葉は、充実感を伴っていた。