上写真=何と読んでほしいか? との質問に「みんなにはコンちゃんと呼ばれています」と答えた紺野(写真◎BBM)
FC東京なら成長できる
大学ではリーグ戦などでしのぎを削った明治大学出身の安部柊斗、中村帆高と並び、紺野は新体制発表会見の壇上に立った。身長161センチと小柄ではあるが、ピッチに入れば存在感は一気に増す。
法政大学がインカレ優勝によるアマチュアシードとして臨んだ昨年7月の天皇杯2回戦は、ユニバーシアード出場のために上田綺世(現鹿島アントラーズ)とともに欠場した。だが、長山一也監督が「紺野がボールを持つとドリブルするコースを周囲が空けたりと頼りがちになるので、2人がいない方が良いサッカーができるという面もある」と笑ったように、不在の在を示して勝利を“アシスト”。
続くガンバ大阪との3回戦では、互いに交代出場ながら「同じドリブラーとしてどれほどのレベルなのか肌で感じてみたいし、盗めるものは盗みたい」と対戦を熱望していた宇佐美貴史とピッチで相対した末、Jクラブ連破に貢献した。
サッカー競技開催が最後となる昨年のユニバーシアードでは、金メダルを持ち帰った。同じ大学生相手ではあったが、帰国後には「ドリブルは海外の相手にも通用していた。逆に日本人よりアジリティがないので、僕としてはやりやすかった。相手の背が大きい分、股抜きもどんどんできて、すごく楽しかった」と、外国人選手相手に技術もメンタルも引けを取らなかったことを明かしていた。
他のJ1クラブからもオファーはあったようだが、「練習の質や強度が高く、守備に代表レベルの選手がいて、毎日マッチアップできる」と自身の成長を見据えてFC東京を選択。昨年から練習に参加しており、今度は他クラブも含めてプロを相手に「ドリブルは負けたくない」と腕を撫す。
高校時代までは全国的に目立つ存在ではなかったものの、「(大学)2年生になったら、急に抜けるようになった」とドリブル技術が開花。さらに、「高校時代はまったくできなかった。監督やコーチに言われて成長できたと思う」という守備力も高めて、プロの世界への扉を開けた。
まだまだ伸び盛りのドリブラー。「誰とやっても負けない圧倒的なスキルを身につけたい」と、大きな野心を胸に国内最高峰のリーグに挑む。
取材◎杉山 孝