上写真=2020年1月1日、天皇杯優勝を喜ぶポドルスキ(写真◎Getty Images)
一生忘れません
Jリーグの舞台で、世界を制した左足を堪能できる機会はそれほど多くなかったかもしれない。シーズン途中の加入だった2017年は15試合5得点。2018年は24試合5得点。2019年は病気やケガによる長期離脱もあって13試合(先発10試合)5得点。その実力を考えれば、寂しい数字とも思える。
だが、ツボに入った時の迫力はさすがだった。シュート力やそのボールの威力が凡百の選手とは違い、『やはり世界を知る選手なのだ』と見る者を唸らせたのは一度や二度ではない。そして彼の加入がその後のイニエスタやビジャらのビッグネームの加入につながった面もあるかもしれない。少なくとも、ヴィッセル神戸の名を世界に知らしめることにも貢献したはずだ。
もちろん、強力な個性を輝かせ、チームに勝利を呼び込んだこともある。日々、チームメイトに世界との差を教え、時には対戦相手に世界との距離を知らせた。
さらに、最後に天皇杯優勝に貢献し、神戸にクラブ初タイトルをもたらしている。
わずかな期間ながら、その足跡はJリーグのそこかしこに刻まれている。同時に、ポドルスキのキャリアにもJリーグ、そしてヴィッセル神戸の名がしっかり刻まれた。
「神戸に来た最初の日からタイトルを共に獲った国立での最後の日まで、神戸サポーターといつも最高の関係を築くことができました。サポーターの皆さまの気持ちは常に伝わっていましたし、一生忘れません。直接お別れの挨拶ができなくて申し訳ないです。いつか皆さまの前に立ってしっかりと挨拶させてください。
そして三木谷会長とヴィッセル神戸のスタッフ、選手の皆にも感謝しています。日本という素晴らしい国に来ることも出来て、日本の文化に触れる事ができました。ヴィッセル神戸でJリーグを経験させてもらい、有難く思っています。この約3年間、ピッチ外でも家族と一緒に楽しい経験ができました。三木谷会長との縁はこれで切れるとは考えていないです。今後も連絡をと取り合っていくと思いますが、今日はとりあえずこの場を借りてありがとうと言わせてください。皆さま、ありがとうございました」
クラブ公式HPに寄せたコメントは本人の感謝の思いが込められていた。天皇杯決勝の試合後は、「今日で終わりではないし、今日からが始まり。自分たちのサッカーで、これから先に進んでいく」と新シーズンも神戸でプレーする可能性を示していたが、今回、クラブとの契約は更新されず、新天地へ旅立つことが決まった。
すでに移籍先候補として、かつてプレーしたトルコなどヨーロッパのクラブや、日本以外のアジアのクラブが取り沙汰されている。