上写真=マリノスに加わった新CB・山本(写真◎BBM)
プレーを見てくれていたことにびっくり
攻撃面が強調される昨季J1王者の横浜FMだが、最終ライン中央の2人も強力だ。畠中慎之介は日本代表で、チアゴ・マルチンスは昨季のリーグベストイレブンに選ばれている。その2人に挑むのが、新加入で背番号2を与えられた山本だ。
山本がびわこ成蹊スポーツ大学から加入したツエーゲン金沢は、その前年にJ2で17位に沈んでいた。そのチームで山本は、ルーキーイヤーに13試合出場。プロ2年目だった昨季には、出場停止となった2試合を除く40試合に出場した。そうしてJ1クラブ、しかもチャンピオンチームでプレーするチャンスをつかんだ。
まさに順調なステップアップ。報道陣に囲まれて少し緊張の色を見せながらも、山本は「金沢に入った時に、2年(プレーした後)でJ1に行こうと決めていたので、思い描いていたとおりになれました」と語った。
チアゴのようなスピードや、畠中のような足元の技術で真っ向勝負しなくとも、自分の武器がある。目の前の相手をしっかり抑え込むという自分のプレーに、「金沢はどちらかとうと守備的なチームなので、そこはみっちりやってきたつもり」と誇りを持つ。「J2では手応えはあったので、J1でどれだけできるか楽しみです」と腕を撫す。
カテゴリーの違う横浜FMの試合は、あまり見たことがなかったという。それだけに、「プレーを見てくれていたことに、びっくりしました。まさかチャンピオンチームからオファーが来ると思っていなかったので」と、予想を超える現実に驚いた。
攻撃的な昨季J1王者を支えたCBコンビの壁は高い。だが、「出るのは非常に難しいことだと思いますが、その難しい環境に自分を置いたら成長できると思うので。その2人を引きずりおろすじゃないですけど、それができた時には代表も見えてくると思ったので、移籍を決めました」と、新たな挑戦を楽しみにする。
CBコンビも含め、ここ2年ほどでの劇的な新陳代謝が、15年ぶりのリーグ優勝につながった。今の横浜FMには、山本のような野心がよく似合う。
取材◎杉山 孝