上写真=背番号は41。自身が好きな14番の逆である41に決めた。「気に入っています」(写真◎BBM)
自分は大卒で時間がない
昨季、J1昇格を目指して京都サンガF.C.で戦っていた仙頭啓矢は、文字通りチームの攻撃の柱であり、けん引車だった。そのプレーを評価されて今回、J1優勝チームに加わることになった。
「去年ずっと(試合を)見ていましたし、マリノスのサッカーってすごく魅力的で、楽しかった。そういうチームからオファーをいただいたのは光栄なこと。チャンピオンチームであるということをリスペクトしていますし、そんなチームで戦えることにすごく感謝しています」
京都に残り、昇格を目指す道もあったが、この機を逃すことはできなかった。サッカー選手の寿命は永遠ではないからだ。
「自分は大卒で、上でやっていくにはそんなに時間がない。京都でJ1上がるということを目標にして来ましたけど、J1の舞台で戦いたいという思いはずっとありました。ただし、ここに来たことがゴールではなくて、マリノスの中心選手として活躍できるように、やっていかないといけないと思っています」
これまでプレーした京都で、仙頭はさまざなポジションを経験している。「ボランチより前はどこまでやってきた」と本人が語る通り、その万能性は大きな武器だろう。本人もポジションに大きなこだわりはない。こだわるのは、何よりも結果だ。もっと言えば、数字ということになる。
「(マリノスは)攻撃的なサッカーと言われますけど、その中でも攻守の切り替えをすごく大切にしていますし、自分はその中で得点やアシストで数字を残して、自分の価値を証明していければと思います」
マリノスは昨季、リーグ1位の得点数(68)を誇り、史上初めて同一クラブから得点王を二人輩出という離れ業を成し遂げた攻撃力が売りのチームだ。そんな破壊力満点の攻撃を実現した主力は一様にチームに残った。その中でポジションを獲得するのは容易なことではないだろう。それでも、仙頭は言い切る。
「代表選手もいるなかで、自分自身がスタメンを取って活躍できたら、その道も近づいてくると思いますし、レギュラー争いが厳しいと見られるのは当然と思うんですけど、自分も何も持たずに挑戦しに来たわけじゃないので。そのあたりの自信というのは、しっかり持って戦っていきたいと思います」
全冠を視野に入れるチームは当然ながら、ローテーションしながら戦うことになる。仙頭にも出番は訪れそうだが、それだけで本人は満足してない。挑んで、勝ち取って、競争の激しいマリノスで活躍してこそ、移籍した意味がある。
「昨年、輝かしい結果を残したのは素晴らしいことですけど、2020年シーズンはまた1からのスタートだということを(監督も)強調されていた。その中で僕たちもチャンピオンチームでやらせてもらえるということにはリスペクトとともに感謝の思いを持ってやっていきたい。本当に一から、自分も含めて新しいチームで、やっていきたいと思います」
初めてのACLも楽しみだと語る仙頭は、「クラブとして国際大会は初めてで、未知な部分もるんですけど、ACLで活躍して大きくなっていく選手はいっぱいいると思いますし、クラブとして世界の舞台で戦えるチャンスがあるというのは、自分は成長できる一つのツールだと思う」と意欲を燃やす。
マリノスの超強力攻撃陣を刺激するだけにとどまらず、定位置どりに意欲を燃やす仙頭啓矢。王者チームがさらなる進化を遂げるために、指揮官もそんな激しい競争を歓迎している。
取材◎佐藤 景