上写真=藤森颯太(中央)は準決勝で3アシスト。決勝ではゴールも狙う(写真◎小山真司)
「決めたかったですけど、チームの勝利が大前提」
「決勝は2年連続で負けて準優勝に終わっているので、目標である3冠もかかっているし、なんとしても優勝したいと思います」
この一言に尽きるだろう。青森山田の右サイドハーフ、藤森颯太は準決勝で高川学園に6-0と圧勝したあと、静かにそう話した。前々回は静岡学園に、前回は山梨学院に決勝で行く手を阻まれて、目の前で優勝をさらわれている。今年はインターハイで優勝、プレミアリーグは新型コロナウイルスの影響でファイナルは行われなかったが、EASTで1位となり、最後の締めくくりまであと1勝、というところまでたどり着いた。
高川学園が5バックでサイドを封じる作戦で臨んできたものの、動じなかった。それは藤森の右足のおかげだろう。3分には左からのFKをGKの手前でストンと落ちるように送り込み、26分には左CKでデザインされた動きに合わせてファーサイドにきれいに届けた。どちらも正確なキックから名須川真光と丸山大和のヘディングシュートを導いて、連続ゴールを生んでいる。
「1点目は立ち上がりということで大事なセットプレーでした。いい位置でフリーキックをもらえたので、いつもやっているように蹴り込むだけでした。味方が合わせてくれればというボールを蹴ったので、うまい形で(名須川が)入ってきてくれて3分で先制できてよかった」
「2点目は前日にトリックプレーを練習していて、ファーへの供給を求められる中で、練習では少しずれたり合わなかったんですけど、いいボールを供給できました」
相手の警戒を軽々と上回る2発で、試合はあっという間に青森山田のものになった。
後半に入って57分に松木玖生が決めたスーパーゴールも、右サイド深くで粘りに粘って相手に渡さずにキープした藤森のプレーがきっかけだったし、続く68分の4点目も藤森のアシスト。インサイドから右裏にランニングしてパスを引き出すと、一度左足で内側から外側にボールをまたいで相手の足を開かせてから、右足で蹴って股下を抜くテクニック満載のセンタリング。これを小湊絆が突き刺した。
「4点目は自分のランニングから始まりましたけど、相手に前に入られながら最後まで駆け抜けて入れ替わって、そこからクロスまで考えていました。でも相手が1枚いたので、少しフェイント入れながらクロスを上げるコースを開けて、股が開いたのが見えたので供給して、そこに3人ぐらい入っていたので決めてくれました」
80分にはお役御免でベンチへ。決勝まで中1日と厳しい日程だけに、少しでも体を休めるのは大切なことだ。
6-0の圧勝で、願わくは自身のゴールもほしかっただろうが、それは決勝にお預けだ。
「玖生から落としてもらって右足も左足もチャンスがありました。得点はサイドハーフに求められることなので、決めたかったですけど、チームの勝利が大前提です。今日は貢献できたのはうれしいけれど、決勝で勝たないと意味がないです」
今度は大津が立ちはだかる。同じくプレミアリーグに所属する強豪だ。今度こそ、藤森のゴールで念願のチャンピオンへ!