上写真=1月4日の準々決勝で前橋育英を下し、初のベスト4進出を決めた大津(写真◎福地和男)
前日の20時に伝えられた不戦勝
大津と関東第一の準決勝は1月8日12時5分から東京・国立競技場で行なわれる予定だったが、準決勝に進出した4チームを対象に大会前に定められた検査を行なった結果、関東第一の選手2人から新型コロナウイルスの陽性反応が認められた。大会感染対策ガイドラインの内規に則り、正規登録チーム(選手30人およびチーム役員)に代わり、予備登録チーム(選手14人および正規登録チーム以外のチーム役員)での出場について、高校およびサッカー部の関係者で検討した結果、関東第一は準決勝の出場を辞退。大津は不戦勝となり、決勝進出が決まった。
大津には7日の20時頃に伝えられたという。もう一つの準決勝、高川学園対青森山田の試合前にリモート会見を行なった大津の山城朋大監督は、報告を聞いたときのチームの様子を「準決勝に向けて準備していましたので、動揺は隠せなかった」と語った。選手たちは8日午前の練習も元気がなかったとした上で、平岡和徳総監督から「『いまできるのは、関東第一さんのぶんまで、決勝に向けて良い準備をすることだけだ」という話をいただいて、どうにかみんなも表情が良くなり、良い雰囲気で練習ができた』という。
ただ、感染に対する緊張感は、より高まったようだ。8日朝に行なわれた抗原検査の際は「みんな、ひと言もしゃべらず、自分の検査結果を食い入るように見ていた」と語った山城監督は、「次は自分たちの可能性があるんだと感じていたようだ」と選手たちの心境を代弁した。
関東第一の小野貴裕監督は7日、日本サッカー協会を通じて「今大会だけでなく、この2年間できる限りの対策を講じてきました。それでも陽性者が出てしまった以上、大会・相手校に迷惑はかけられないと判断しました。チームは動揺が隠せない状況ですので、個別の取材はご遠慮頂けますと幸いです」とコメントを発表している。山城監督は関東第一について「都リーグでも結果を出していて、きれいなサッカーをするという印象を持っていた。全国大会の勝ち上がりを見ると、きれいなサッカーだけでなく、対戦相手に応じて戦い方を変えていくような器用な一面もあり、本当にやりづらい相手だと捉えていた」と語った。
いずれにしても決勝の相手は青森山田に決まり、10日14時5分から国立競技場で、初優勝を懸けて対戦する。7日に亡くなった長崎総科大附の小嶺忠敏監督への思いも踏まえ、「平岡総監督は『ここまで来たら結果うんぬんにこだわるのではなく、自分たちがいままでやってきたことを精一杯出し切って、熊本県民や九州の方々、小嶺先生や、関東第一さんの思いを背負って戦おう』と話していた」と山城監督は明かし、最善の準備を尽くして決勝の舞台に立つ決意を新たにしていた。