全国高等学校総合体育大会(通称インターハイ)の男子サッカー競技が北海道旭川市を舞台に7月29日に開幕。1〜3回戦を経て31日に8強が出揃った。前年度王者の前橋育英高校(群馬)を3回戦で1-0と下した尚志高校(福島)、優勝候補の大津高校(熊本)、地元の旭川実業高校(北海道)を退けた市立船橋高校(千葉)などが勝ち残った。

上写真=1回戦で静岡学園を下した明秀日立は3回戦で青森山田を撃破。大会前半の主役になった(写真◎川端暁彦)

市立船橋対日大藤沢は屈指の好カード

 大会前半戦最大のトピックは、明秀日立高校(茨城)による「プレミア東西首位チーム連破」と言い切っていいだろう。

 高円宮杯プレミアリーグU-18は、全国を東西2ブロックに分け、Jリーグクラブのユースチームを含めた計24チームで争われる育成年代最高峰のリーグ戦。並み居る強豪を押し退けて、そのEAST首位に立っていたのが青森山田高校(青森)であり、WEST首位に立っていたのが静岡学園高校(静岡)だった。

 両校は当然ながら今大会も優勝候補と目されるチーム。その好対照なサッカースタイルを持つ両雄が、抽選の妙でトーナメントの同じ山に入ったことで、大会前半戦のハイライトは両校の対決になるのではないか——。そういった見方をする関係者は実際に多かった。

 ところが、そこに待ったをかけたのが明秀日立である。茨城北部の日立市を本拠とする私立校で、着実に力を蓄えてきたこの精鋭が、こうした見方にストップをかけた。29日の初戦で静岡学園を相手に強度高くタフなスタイルを押し出して勝利を掴み取ると、30日の2回戦では関西大学第一高校(大阪)も2-0で撃破。そして迎えた青森山田との3回戦では後半アディショナルタイムの劇的なゴールで見事に1-0と勝利。大旋風を巻き起こすこととなった。

 計画的に体を鍛えていく個人のフィジカル面を重視して育成している明秀日立のストロングポイントは、やはりその強度にある。激しく圧をかけてボールを奪い、鋭い攻めからゴールをもぎ取るのが基本形。守備では主将でもあるDF山本凌が圧倒的な存在感を見せてゴール前の堅陣を支えている。

 静岡学園戦ではこの強みがボールを持って繋ぎたい静岡学園に対して見事にハマり、青森山田戦では強度と強度の真っ向勝負になる中での勝ち残りとなった。「本気で日本一を狙いにいく」と掲げている萬場努監督の指揮下で一丸となっているチームは、シビれるようなゲームを続けている。

 次は前年度の高校サッカー選手権優勝校である岡山学芸館高校(岡山)をPK戦で下した高知高校(高知)相手のゲーム。そこを乗り越えると、“ひょっとして”が見えてきそうだ。

 その隣の山からは日大藤沢高校(神奈川)と市立船橋が8強まで勝ち残った。1、2回戦を「まったく良くない試合内容」(佐藤輝勝監督)からPK戦で勝ち残ってきた日大藤沢は、3回戦を前にあらためてチーム内での話し合いも激しく交わし、強豪・米子北との3回戦では「これまでで一番良い試合」(佐藤監督)を演じて3―1と快勝。見事な勝ち残りを決めた。

 長身でしなやかなプレーを見せるGK野島佑司、身体的な特長と左足の強烈なキックを持つDF尾野優日、左利きのメリットを活かしたビルドアップと高さが光るDF宮﨑達也、攻撃の柱として結果も残しているMF安場壮志朗など元より個性豊かで魅力的なタレントも揃っている。そこにチームとしての一体感も加わってきた。大会序盤に苦しんだことも、勝ち残ってしまえば、むしろ好材料だろう。

 対する市立船橋も伝統のタフネスに加え、今年はFW郡司璃来という絶対的エースもおり、トーナメントで持ち前の強さを発揮してきた。2回戦では優勝候補の大津高校(熊本)にPK戦の末に粘り勝ち。U-16フィリピン代表GKギマラエス・ニコラスやU-17日本代表候補のDF内川遼、闘う技巧派MF太田隼剛などキャラの立った選手たちが揃う。日大藤沢との対戦は準々決勝屈指の好カードと言えるだろう。


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