中国5県のU-18(高校)年代のチームによって争われるプリンスリーグ中国は、5月20日に前半戦最後となる第8節が行なわれた。高体連のチームは今後、インターハイ(全国高校総体)県予選が待っている。第8節で対戦した米子北高(鳥取)と就実高(岡山)も、収穫と課題を胸に全国の舞台を目指す。

上写真=前半戦最後のプリンスリーグ中国第8節。就実高(赤)が前半に先制したものの、米子北高が後半の3得点で逆転して勝利(写真◎石倉利英)

後半の3得点で逆転勝ち

 鳥取県米子市の、どらドラパーク米子陸上競技場で行なわれた一戦は、立ち上がりの5分に就実が先制。DF平木壯門のロングパスに合わせて左サイドから抜け出したFW松澤悠紀が、GKとの1対1を制して決めた。

 今年度はU-18年代最高峰のプレミアリーグで戦っているため、1つ下のカテゴリーとなるプリンスリーグ中国にはセカンドチームが参加している米子北は、0-1とリードされて前半を終えた。後半も何度かピンチを迎えたがしのぎ、71分にゴール前の混戦からDF濱口慶汰が決めて同点とする。

 これで勢いづいた米子北セカンドは、直後の72分にMF久徳凰雅が決めて逆転。さらに74分にもFW堀大夢が決め、一気にたたみかけてリードを2点に広げた。その後は就実も攻め込む時間帯があったものの、そのまま米子北セカンドが3-1で勝利を収めている。

 就実は同点ゴールを機に守備が乱れ、悔しい逆転負けを喫した。CBの一角で守備を統率したDF峰沢悠月は「ああいう形で連続失点するときがあるので、変えていこう、決められても切り替えて、次に向かっていこうと話しているのですが…ギアが上がっていかない」とチームの課題を指摘。「もっと(ギアを)上げなければいけないと感じた」と自分たちに矢印を向けた。

 2009年の男女共学化に伴って創部され、今年度で12年目を迎えるが、まだ全国大会には出場したことがない。今年度最初の挑戦となるインターハイ予選に向けて、峰沢は「これまで2年間、先輩たちも自分たちも悔しい思いをしてきました。自分たちの代で晴らしたい」ときっぱり。広島県福山市から就実に進んだキャプテンは「先生たちや周りの皆さんが支えてくれる環境があって、サッカーができている。フィールドは、その思いを表せる場なので、全国大会出場という結果を残したいです」と言葉に力を込めていた。

 3連敗中だった米子北セカンドは、特に前節は玉野光南高(岡山)に0-7で大敗したものの、今節は鮮やかな逆転勝ち。左サイドバックで先発し、サイドハーフにポジションを移してから同点ゴールを決めた濱口は「今日こそは絶対に勝たなければいけないと、みんなで話していました。同点ゴールを決めたら、チームも勢いに乗ってよかった」と笑顔で語った。

 米子北は過去にもプレミアリーグに参戦したことがあるが、当時のセカンドチームはプリンスリーグ中国ではなく、2つ下のカテゴリーである県リーグで戦っていた。だが昨年度のセカンドチームが昇格を果たしたことで、今年度は、より高いレベルで戦うことができており、濱口も「プリンスリーグで鍛えられて、チームも自分も力がついてきていると感じる」という。

 濱口はセカンドチームで先発しているものの、トップチームのプレミアリーグでは控えで、出場機会はわずか。この日はアウェーで履正社高(大阪)と戦ったプレミアリーグのメンバーから外れており、「最終的にはプレミアリーグで先発して、ゴールを決めたい」と意気込むが、まずはインターハイ予選がある。15大会連続18回目の出場に向けて「チーム一丸となって戦っていきたい」と決意を新たにしていた。

 プリンスリーグ中国は各県のインターハイ予選終了後、6月24日に再開。インターハイの全国大会や高校選手権予選による中断を挟み、11月25日の最終節(第18節)まで熱戦が繰り広げられる。

取材・写真◎石倉利英


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