上写真=10月に教育実習に参加した井上(左)と梅木。立正大淞南高の練習着に久しぶりに袖を通した(写真◎石倉利英)
大分で今季すでにJ1デビュー
セレッソ大阪DF松田陸、ヴァンフォーレ甲府FW松田力など、これまでに多くのプロ選手を輩出している島根県の立正大淞南高は、今年度も出身選手3人の来季Jクラブ加入が内定。福岡大のMF井上健太が大分トリニータ、同じく福岡大のFW梅木翼がレノファ山口、大阪体育大のDF林尚輝が鹿島アントラーズに加入することが決まっている。
このうち井上と梅木が、10月に母校の立正大淞南での教育実習に参加。体育の授業やサッカー部の練習に参加して、当時を思い出す懐かしい日々を過ごした。
立正大淞南は今年8月、サッカー部の寮で新型コロナウイルスのクラスターが発生し、部活動を一時休止する事態となった。教育実習は高校選手権の県予選を控えた時期だったが、井上は「ニュースを見て心配していました。部員がどんな状況で練習しているのか分かりませんでしたが、実際に来てみると淞南らしく、活力あふれるサッカーをしていて、日常生活も熱く過ごしながら目標に向かって進んでいます。頑張っていて、すごいと思いました」と後輩たちの奮闘に目を細めていた。
神奈川県出身で、横浜ジュニオールジュニアユースから立正大淞南に進んだ井上は、スピードを生かしたドリブル突破を武器に活躍。3年間で南健司監督に学んだことを「大学に行っても、プロの世界でも、南先生に言われた通りだと感じています」と語る。
福岡大4年の今季は大分の特別指定選手として、すでに明治安田生命J1リーグでデビューし、6試合に出場している。「勝負が懸かる場面でのメンタリティー、プレッシャーをはねのけること。高校時代、日本一という目標に向かって、どのようにしなければいけないのかを考えて過ごし、現在の生活に置き換えても、ためになることばかりでした」と当時を振り返った。
「南先生に『自分の武器を磨き続けろ』と言われていた」という高校時代を経て、プロの世界に足を踏み入れた現在は「自分の武器はスピード。ドリブルで進入していくプレーは、練習でも試合でも出せている」と感じているという。一方で「技術的なミスがあるとカウンターを食らってしまう。技術レベルも戦術理解度も、さらに上げなければいけない」と課題を見いだしている。
来季からの本格的なプロ生活を前に母校を訪れ、「自分の原点に戻った感じです」と笑った井上。先日、来季も指揮を執ることが発表された片野坂知宏監督の信頼を勝ち取るための戦いが、もうすぐスタートする。