第99回高校選手権の島根県予選2回戦が10月24日に行なわれ、5年連続出場を目指す立正大淞南高が松江南高に8-0で勝利。新型コロナウイルスの集団感染を乗り越えての全国大会に向けて初戦を突破した。

上写真=前半から相手を圧倒した立正大淞南高。黄色いユニフォームが躍動した(写真◎石倉利英)

応援なしでの戦い

 高校サッカー界ではおなじみの黄色いユニフォームがピッチを駆け抜け、全国に向けて力強いスタートを切った。10月24日の第99回全国高校選手権の島根県予選2回戦で、5年連続19回目の出場を目指す立正大淞南高が初戦に臨み、松江南高を8-0で下して勝ち上がった。

 インターハイが中止となった今年の夏、同校はさらなる大きな試練に見舞われた。8月にサッカー部専用の寮で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生し、関連も含めて108人まで拡大。各メディアが大きく取り上げたこともあり、学校には批判が殺到、SNSやインターネット上での生徒への誹謗中傷も広がった。

 9月10日に松江市の松浦正敬市長が収束宣言を出し、同校も授業や部活動を再開したものの、サッカー部はスーパープリンスリーグ中国への参加を辞退。公式戦は県リーグ2試合を消化しただけで、この選手権予選に臨んだだけに、南健司監督は「いろいろな方々の支援・応援のおかげで、この場に立つことができたのがよかった。それに応える戦いが始まったことがうれしい」と喜んだ。

画像: この日は強風のために倒してあったが、支援への感謝を伝えるボードも準備された(写真◎石倉利英)

この日は強風のために倒してあったが、支援への感謝を伝えるボードも準備された(写真◎石倉利英)

 試合は11分(40分ハーフ)にMF古内快成が先制点を決めると、前半だけで4得点。後半もMF多久和秀などが加点し、古内はハットトリックを達成するなど4得点を追加して圧勝した。南監督は、前後半80分の試合経験の少なさゆえの課題を挙げながらも「シュート数に対する決定率は悪くなかったと思うので、ゴール前ではウチの良さを出せた」と一定の評価を下している。

 島根県予選は、観客を対戦両校のサッカー部関係者と部員の家族に限定。立正大淞南もメンバー外の部員がバックスタンドに陣取ったものの、声を挙げての応援はしなかった。同校は公式戦を戦うにあたり、応援部員の後押しも重視しており、それがないことは新様式での選手権予選を感じさせるものだった。

 応援なしでの戦いに向けて、南監督は「いつも『苦しいときに最後の一歩を出せたのは、大応援団のおかけ』と言っている。だから『最後の一歩は自分でしか出せないよ』と言い聞かせていた」という。この日は内容も圧倒したが、今後の戦いでは、ピッチに立つ選手それぞれの力が問われる場面がもありそうだ。

 クラスターを乗り越えて踏み出した、全国への第一歩。この日2得点を挙げたMF多久和は「いろいろな支援をいただいたので、感謝の気持ちを忘れずにプレーしました。自分に課せられたプレーをやり切って、全国大会に向けて頑張りたい」と決意を新たにしていた。

取材・写真◎石倉利英


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