上写真=益田高の3年生で唯一、選手権予選を戦っている中村(写真◎石倉利英)
部活動終了後に塾、帰宅後も勉強
松江市の各グラウンドで開催された1回戦。江津工高と対戦した益田高は、前半を2-0で折り返すと、後半にも2点を追加して4-0で勝利し、初戦を突破した。
CBの一角でプレーしたDF中村悠人は安定した守りだけでなく、機を見た攻め上がりも見せた。後半途中からは中盤でプレーし、得点こそなかったものの、右サイドを突破して4点目をアシスト。「前半は守備に徹して、中盤に上がってからはゴールを決めたいと思っていました。ドリブルでゴリゴリ行って、決めることはできませんでしたが、アシストできてよかった」と表情をほころばせた。
全15人のメンバーで臨んでいる益田で、中村は唯一の3年生。進学校のため、例年ほとんどの3年生がインターハイ予選後に部活動をやめ、受験に備えるが、中村はグラウンドから離れなかった。
選手権予選まで続ける意思は以前から持っていたが、新型コロナウイルスの影響でインターハイ、県予選とも中止となり、「やり切れなかったので、最後まで頑張りたかった」との思いが強まっている。同期の仲間がいなくなっても「寂しかったけど、サッカーがなかったら楽しくない」と決意は揺るがず、高校サッカーとの両立を続けている。
キャプテンは2年生MF大畑夏輝が務めているが、チームの大黒柱であることは変わらない。「みんなから質問してくれるので、それに答えるだけ。練習から出せるだけ自分の力を出してきた」という姿勢で、後輩たちとともにチーム力アップに励んできた。
卒業後は、大学でも体育会サッカー部で競技を続けていくつもりだ。「バチバチしたレギュラー争いがしたい」との思いを胸に、部活動終了後は塾に向かい、帰宅後も勉強して、受験への備えも怠っていない。
24日の2回戦では吉賀高と対戦する。当面の目標は、そこを勝ち抜いて31日の準々決勝に進むこと。会場は地元・益田市の県立サッカー場で、大社高と石見智翠館高の勝者と対戦する。高校での自己最高は昨年度の新人戦ベスト8で、その壁を破って全国大会に近づくことが、次のターゲットになる。
「組み合わせが決まったときから、地元での準々決勝を目指していました。そこで勝つことができれば最高です」
受験に専念するのは、高校サッカーをやり切ってから。2回戦でも攻守に持ち味を発揮して、勝利への貢献を目指す。
取材・写真◎石倉利英