中村駿太(FW/3年生)
「正直、何も分からない」
インターハイ(以下インハイ)について尋ねると、素直にそう答えた。今年度から青森山田にやってきた中村にとって、今夏は最初で最後のインハイの舞台となる。高校1、2年生時は柏レイソルU-18に所属。夏の大会といえば、Jリーグの下部組織や町クラブがしのぎを削る日本クラブユース選手権だった。
「中学、高校とずっとクラブユースでやってきて、高体連のインハイや選手権は外から見ていたもの。どんなものなんだろう? くらいにしか思っていなかった」
いわゆる“サッカー部”とは無縁の人生を歩んできた。だが、高校最後の年に自身のさらなる成長を期し、青森山田への転入を決断する。昨年度、高円宮杯と高校選手権の制し、高校三大タイトルのうちの2冠を獲得した高校だ。唯一、手が届かなかったのが夏のインハイだった。
「昨年取れなかったタイトルということで、(黒田剛)監督からも“どのように負けたか”ということを言われている」
中村が話すように、インハイに臨むチームのテーマはリベンジになる。前回大会を経験していない中村にとってはその点で難しさもあるという。
「みんなは(大会の)雰囲気とか分かっているけれど、僕は分からない。自分だけ飲み込まれないようにやっていかなければならない」
さらに、インハイ独自の試合時間にも言及した。
「インハイは前後半35分ハーフ。普段は(高円宮杯)プレミアリーグの45分ハーフに慣れているので、そこから10分少ないというのは、想像以上に時間が短いと思う。だから先制点が大事になってくるし、得点を取れればうちの守備陣は守り切ってくれる。早い時間に先制点を決められるようにしたい」
言うまでもなく、先制点を期待されるのは、ストライカーである中村。自身もそのことを理解している。
「FWなので毎試合ゴールを取りたい。まだ個人としても足りないところはたくさんあるけれど、チームのために点を取っていきたい」
チームのために得点を重ねれば、頂点も見えてくる。
「僕が来たから、(インハイを)取れたと言ってもらえるように最後になっていたい。そうすれば僕もうれしいし、チームのみんなも良い思いができる。僕たちの高校サッカーは夏で終わりではないけれど、みんなで笑ってインハイを終えられればと思う」
中村が挑む、最初で最後のインターハイ。望みどおりに、優勝請負人となれるだろうか。
(取材・構成◎小林康幸/サッカーマガジン編集部)
Profile◎なかむら・しゅんた/1999年5月10日生まれ、千葉県出身。FW。小学生から柏アカデミーで育ち、今年度から青森山田へ。昨年はU-19 日本代表の一員として、アジア制覇にも貢献した。166cm、66kg
[インターハイ男子サッカー日程]
開会式:7月28日(金)
1回戦:7月29日(土)
2回戦:7月30日(日)
3回戦:7月31日(月)
準々決勝:8月2日(水)
準決勝:8月3日(木)
決勝:8月4日(金)ユアテックスタジアム仙台
※青森山田の初戦は7月30日(2回戦)
vs明徳義塾対東福岡の勝者