天皇杯 JFA 第104回全日本サッカー選手権大会が開幕し、5月26日の1回戦でガイナーレ鳥取(鳥取県代表・J3)とFCバレイン下関(山口県代表・中国サッカーリーグ)が対戦した。後半に下関が先制し、鳥取が追い付いて延長にもつれ込んだ一戦は120分間を終えて決着がつかず、PK戦に突入。これを制した下関がクラブ史上初のJクラブとの戦いを勝ち抜き、ジャイアントキリングを達成した。

上写真=現地まで駆けつけたファン・サポーターと喜びを分かち合う下関の選手・スタッフ。4回目の出場での天皇杯初勝利がジャイアントキリングとなった(写真◎石倉利英)

■2024年5月26日 天皇杯1回戦(@Axis:観衆660人)
鳥取 1-1(PK3-4)下関
 得点:(鳥)松木駿之介
    (下)野見山楽斗

2回戦でサンフレッチェ広島と対戦

 強い風が吹く中で始まった一戦は、風上の鳥取が良い形を作れないのに対し、下関が効果的なカウンターでチャンスを作る。左サイドのMF坂野の突破からのチャンスが多かったが、16分にカットインから放った右足シュートは鳥取GK井岡に阻まれる。30分には坂野の突破からの折り返しをFW岸田が右足で合わせるも、これも井岡にセーブされた。

 鳥取は前半の終わりごろに良い形ができるようになったが、40分にFW三木が放った左足シュートは下関GK岡﨑がセーブ。これで得たCKからDF坂本が右足ボレーで狙ったシュートも岡﨑に防がれ、そのままスコアレスで前半を終えた。

 後半は一進一退の攻防が続いていたが、65分に下関が先制点を奪う。MF戸田がCKをファーサイドに送ると、フリーで待っていたのはMF野見山。「デザインされたCK。トラップも考えましたが、振り抜いた」という右足ボレーがニアサイドを破ってネットを揺らした。

 鳥取は反撃に転じるも、下関の堅守を破れずに時計の針が進んだが、終盤に入った80分に相手と同じくCKから同点とする。DF小泉がファーサイドに送ったボールを、「自分の頭の上に良いボールが来れば競り勝てる自信がある」というMF松木が、高い打点のヘッドでたたき込んで1-1とした。

 その後は鳥取が主導権を握り、後半の残り時間から15分ハーフの延長にかけて敵陣に押し込んで攻め続けたものの、ラストパスがわずかに乱れたり、下関の粘り強い対応に遭って勝ち越し点は奪えず。120分間を1-1で終え、勝ち抜きの行方はPK戦にもつれ込んだ。

 ここで大活躍したのが下関GK岡﨑で、先攻の鳥取の2人目・FW長谷川のキックを左に飛んでセーブ。続く3人目も、FW宮田の正面やや左寄りへのキックを止めた。下関は決めれば勝利だった4人目のFW原崎がゴール上に外したものの、最後は5人目のFW佐藤が決め、4-3でPK戦を制した。

 昨年と一昨年は1回戦でカテゴリーが1つ下のJFLクラブに敗れ、今年は2カテゴリー下のクラブに敗れて金星を献上した鳥取に対し、下関は2006年のクラブ創設以来初めてとなるJクラブとの対戦でジャイアントキリングを達成。天皇杯も4回目の出場で初勝利を挙げ、6月12日に行なわれるサンフレッチェ広島との2回戦に駒を進めた。

 山根監督は試合後の会見で「(ビルドアップやプレッシングなど)用意したものが実際にピッチに入ったとき、なかなかうまく発揮できなかったが、その中でも選手たちは臨機応変に対応してくれた」とコメント。「相手にボールを持たれる時間が多くても、ハードワークしながら守ってくれたこと、戦ってくれたことが勝利の一番の要因」と称賛した。

取材・写真◎石倉利英

▼出場メンバー
・鳥取:GK井岡海都、DF伊川拓、金浦真樹、坂本敬、丸山壮大(HT:小泉陸斗)、MF常安澪、曽我大地、東條敦輝(延長HT:長谷川夢叶)、西田結平(65分:吉井泰生)、FW三木直土(58分:松木駿之介)、髙尾流星(65分:宮田和純)

・下関:GK岡﨑隆雅、DF下村尚文、半田勘太朗、岩本雄喜(80分:齋藤康友)、川前陽斗(HT:舛田勇士郎)、MF野見山楽斗、戸田海人、稗田凌太(83分:原崎颯)、坂野翔(70分:佐藤颯汰)、FW西田憲誌朗(114分:西大輔)、岸田和人(90+4分:米澤康太)


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