AFCチャンピオンズリーグ(ACL)はグループステージ第2戦を迎え、G組の横浜F・マリノスは中国に渡って山東泰山と対戦した。完全アウェーの中、水沼宏太が前半のうちに先制して優位に進めた。ほかの決定機は逸したものの、相手の猛攻をしのぎきって、今大会初勝利を手にした。

上写真=水沼宏太(左)が決めて、横浜FMが初勝利!(写真◎Getty Images)

■2023年10月3日 ACLグループステージ第2節(@済南奥林匹克体育中心)
山東泰山(中国) 0-1 横浜FM
得点:(横)水沼宏太

「この大会をどれだけ大事に思って戦っていたか」

 スタンドをオレンジ色に染めた大観衆の前で、アウェーの横浜F・マリノスが結果で見せつけた。

 個で勝負する球際には強いが、グループでの守備はルーズ。そんな山東泰山を横浜FMが上回った。前半から作っていたいくつかのビッグチャンスが、ついに実を結んだのは37分のことだ。

 左サイドでエウベルがボールを引き出してから、そのままゴールへ向かって斜めにドリブル。ナム・テヒをポストに使ったワンツーできれいにDFラインを破ると、相手のタイミングを外して右アウトサイドパスで中へ、ゴール前で完全にフリーになっていた水沼宏太が右足ボレーでたたいて強烈にネットを揺すった。

 後半は1点のビハインドを取り返そうと、大声援の後押しを受けた山東がどんどんとゴール前になだれ込んできた。49分にはクリザンがペナルティーエリアの左外から逆サイドのコースを狙うテクニカルなシュートを打ってきたが、右ポストに当たってはじき出された。

 その30秒後、今度は横浜FMがカウンターからナム・テヒが右サイドのオープンスペースに飛び出して、中央へ。植中朝日が落ち着いて蹴り込んだが、VARチェックでナム・テヒが最初に抜け出したところがオフサイドとされて追加点のチャンスを逃した。

 この攻防で一気にスタジアムはヒートアップ、後半早々にオープンな展開になっていく。

 横浜FMは落ち着いて山東の攻撃をしのぎながら、カウンターの牙を研ぎ続けた。84分には右からヤン・マテウスが出てきて、逆サイドへクロス、宮市亮がヘッドで落として植中がダイレクトで狙ったが、GKへ。87分にはFKを与えてしまい、クリザンにヘッドで狙われるが、今度は左ポストが防いでくれた。

 最後の最後は、分かりやすくゴール前に放り込んでくる山東の攻撃をなんとか封じて、1-0で勝利。初戦で仁川(韓国)にホームで2-4と敗れていたが、これで五分の星に戻した。

 完全アウェーの中で貴重な決勝ゴールを奪った水沼は「リーグでもACLでも勝てていない状況で臨んできて、雰囲気はどアウェーでしたが、この大会をどれだけ大事に思って戦っていたかは、ピッチで示せたと思います」と胸を張った。

「僕が最後は決めましたけど、エウベルとナムが崩してくれました」

 唯一のゴールで仲間に感謝しつつ、「ほかにもチャンスがあったので、決めきれれば楽になった」と悔やむ場面も。それでも「何が何でも勝ち点3を取るという意味では良かった」と素直に勝利を喜んだ。


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