上写真=パースグローリー戦でプロデビューを飾っ紺野和也(写真◎Getty Images)
どんどん仕掛けていこうと
3度目の正直だった。1月28日のACLプレーオフ(セレスネグロス戦)、2月11日のACLの初戦(蔚山現代戦)とベンチ入りしながら、結局、出場機会はなかった。しかしこの日、パースグローリー戦の後半(59分)、ついに出番が訪れる。チャンスをゴールにつなげられない悪い流れを断ち切るために。
「デビュー戦だったんで、本当に楽しみにしていましたし、実際プレーしてすごく楽しかった。個人的には、数字を残したいという気持ちで(ピッチに)入って、そこは残せなかったんですけど、リズムを変えることはできたのかなと思います」
紺野和也は、ピッチに入るや切れのあるドリブルで仕掛けて、攻撃のリズムを変化させた。
「自分が(ピッチに)入って、ドリブルで相手の守備の陣形を崩したいというのは考えていたので。前半は相手もいい組織で、崩すことができていなかった。そこをどんどん仕掛けて崩していこうというのは自分の中では意識していました」
プロデビュー戦とは思えない落ち着きと判断。いま何が必要で、何をすべきか。紺野は自らの武器であるドリブルを、ピッチで繰り返した。そのプレーによって攻撃が活性化したのは、誰の目にも明らかだった。
そして83分、FC東京はついに相手ゴールをこじ開ける。ネットを揺らしたのはレアンドロ。紺野はゴールに至るプレーに直接かかわってはいなかったが、ドリブルによる仕掛けでパースの守備陣を後退させたことが、結果としてスペースを生み、レアンドロのゴールにつながったと指揮官も評価した。
「トレーニングでもキレていたし、(オーストラリアの)大柄のDFは止めづらいだろうと思っていました。紺野は狭いスペースでも苦にせずプレーできる選手。期待通りにプレーをしてくれた」(長谷川健太監督)
新体制発表で「ドリブルでは誰にも負けたくない」と語った強い決意と自信は、伊達ではない。
「(安部)柊斗が初戦から出続けて、スタメン取っているので自分の中で悔しい気持ちもありますけど、自分も一歩一歩しっかりやっていくことで評価されると思うので。刺激を受けながら、そこは自分の今の立ち位置を受け止めて。日々の練習が大事なっていくと思うので、しっかりやっていきたい」
大卒で、ともに今季入団した安部や中村帆高が先に出場機会を得ており、焦りもあったという。だが、デビュー戦の『インパクト』なら負けていない。
「これからも出続けることが大事だと思うので、また明日から準備していきたいと思います」
新たな一歩を刻み、継続を誓った紺野。2020年シーズンはピッチで何度も、青赤の背番号38が勇躍する姿を見ることになるだろう。