AFCチャンピオンズリーグ準決勝の第1戦が埼玉スタジアムで行なわれ、2年ぶりにアジアの頂点を狙う浦和が快勝した。立ち上がりから主導権を握り、19分にファブリシオが先制点をマーク。後半にも攻めの手を緩めず、75分にはCKのこぼれ球を拾った関根貴大がミドルシュートを決めて追加点を挙げた。公式戦では8月14日の天皇杯・水戸戦以来、11試合ぶりの勝利。リードを守り切れずに失点してきたチームが、この日は見事に中国の広州恒大をシャットアウトした。

上写真=無失点勝利に貢献した鈴木大輔(写真◎J.LEAGUE)

■2019年10月2日 AFCチャンピオンズリーグ準決勝第1戦
浦和 2-0 広州恒大
得点:(浦)ファブリシオ、関根貴大

攻めているときこそピンチ(鈴木)

 7月6日のベガルタ仙台戦以来、実に17試合ぶりの無失点勝利。ファブリシオ、関根貴大の豪快なミドルシュート2発は特大のインパクトを与えるものだったが、チームにとっては無失点で抑えた意味も大きい。アウェーゴールを与えずに第2戦に臨めるからだ。2017年にACL優勝を経験している興梠慎三は、あらためてその価値を口にする。

「アウェーゴールは、あとできいてくるからね。失点だけはしないようにしようと話していた。きょうは後ろがよく集中して守ってくれたと思う」

 3バックの中央に入った鈴木大輔を中心に積極的にラインを押し上げ、高い位置からプレスをかけ続けた。相手のくさびに対しては、鈴木の両脇にいるCBの槙野智章と岩波拓也が厳しくチェックに行き、ことごとく封じていた。
 前へのチャレンジだけではなく、カバーも抜かりはなかった。鈴木は裏のスペースをしっかりケア。チャレンジ・アンド・カバーが終始、徹底されていた。槙野は言う。

「鈴木大輔選手が前の選手にしっかりコーチングしている。3バックのなかでも、コミュニケーションが取れていました」

 柏レイソルから移籍加入して1年目。オズワルド・オリヴェイラ前体制では出場機会をつかみ始めた矢先に監督が交代し、大槻毅新体制がスタートすると、ベンチを温める時間が長くなった。それでも、地道にトレーニングを続けて、いまはマウリシオに代わり、3バックの真ん中に入る。的確なコーチングの効力は、チームメイトたちも認めている。本人は無失点に抑えた手柄を誇るようなことはしない。

「チーム全体の守備が良かったと思います。相手のカウンターが怖かったので、攻めているときこそピンチだという気持ちで守っていました」

 浦和はJ1リーグで終盤に失点して勝ち切れない試合が続いていただけに、完封勝利は失いかけていた自信を取り戻すきっかけにもなったはずだ。

 そのJ1は4日後の10月6日、すぐに清水エスパルスとの一戦が控えている。真価が問われることになるだろう。そしてACL準決勝第2戦は10月23日、広州で決勝進出をかけた一戦に臨む。

取材◎杉園昌之 写真◎J.LEAGUE

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