上写真＝鋭いドリブルやシュートが光った同志社大学三ツ葉キッカーズAの中。後半に決めた同点ゴールは鮮やかだった（写真◎石倉利英）
「やるしかないと思って振り抜いた」
近年は大学の準体育会・同好会・サークルの日本一を決める大会と位置付けられ、代々の選手・女子マネジャーに『マガ杯』『マガジン杯』の愛称で親しまれているサッカーマガジンカップ。決勝で早稲田大学HUMAN FC Aと対戦した三ツ葉キッカーズは前半に先制され、そのまま後半の半ばまでリードを許していた。
だが残り時間も少なくなってきた49分（30分ハーフ）、左サイドで競り合いのこぼれ球を拾った中が、思い切り良く左足を振り抜く。強烈な弾道のシュートが右サイドネットに突き刺さり、1-1とした。
今大会の準決勝までの7試合を無失点に抑えていたHUMAN FC AのGK折原怜が、一歩も動けず見送るしかなかった衝撃のスーパーゴール。決まった瞬間、アンダーアーマー菅平サニアパークは大きくどよめき、殊勲のアタッカーは応援団が待つバックスタンドへとダッシュして喜びを爆発させた。
「予選リーグから先輩に『シュートを打て』と言われ続けていて、やるしかないと思って思い切り振り抜いたら、良いところに飛んだ」と語る。右利きの選手が左足で決めた鮮やかな一撃で、生涯最高のゴールでは、と聞くと「そうですね。大学に入って、あんなに感情が爆発するとは思わなかった」と振り返った。
雲雀丘学園高（兵庫）から同志社大に進学したときは「もうサッカーはいいかな、と思っていて、同好会・サークルにも興味がなかった」という。それでも「1回行ってみようかな、と思って練習に行ったら先輩の皆さんが、めちゃくちゃうまくて、一緒にやるのが楽しくて」三ツ葉キッカーズに入ることを決めた。
初めての菅平、初めてのサッカーマガジンカップの決勝で鮮やかなゴールを決めて「勝ったな、と思ったんですけどダメでした」。チームは延長で2失点して1-3で敗れた。それでもルーキーには、まだチャンスが残されている。悲願の初優勝に向けて、挑戦を続けていく。
取材◎石倉利英 写真◎高野徹
