2023-24シーズンのWEリーグWEリーグ第21節が5月18日に行なわれ、ノエビアスタジアム神戸ではINAC神戸レオネッサと三菱重工浦和レッズレディースが対戦した。浦和が連覇を決めた状況で迎えた一戦は、アジア女王に輝いたばかりの浦和が前半に先制。後半の劣勢に耐えて追加点を奪い、「真のチャンピオン」への最初の試合で勝利した。

上写真=敵地でI神戸を下し、現地まで訪れたファン・サポーターをバックに記念撮影する浦和の選手たち(写真◎森田将義)

■2024年5月18日 WEリーグ第21節(@ノエスタ:観衆3,064人)
I神戸 0-2 浦和
 得点:(浦)角田楓佳、清家貴子

「3強から抜け出したい」

 5月10日にAFC女子クラブ選手権を制した浦和は、12日に行なわれたWEリーグ第20節で2位のI神戸が敗れたため、2試合を残してのリーグ連覇も決定。今節は消化試合と言っても過言ではなかったが、浦和の楠瀬直木監督はこう振り返る。

「非常に難しいシチュエーションでのゲーム。I神戸が意地を見せてくるのではと想定して一生懸命、集中しなければと思っていた」
 
 対するI神戸は勝てば2位が確定、ホーム最終戦でもあり、ジョルディ・フェロン監督は「ホームで戦うにあたり、勝ちたかったので、いろいろ変えた」と明かす。来季に向けて戦い方の幅を広げるため、従来の3バックから4バックに変更して「今シーズン、一番成長した選手」と指揮官が評するDF竹重杏歌里を左SBで起用。得点ランキングトップを走る浦和FW清家貴子封じを狙いつつ、ハイプレスを仕掛けた。

「なかなか強度の高いゲームができた」とのフェロン監督の言葉どおり、I神戸のプランがうまく機能し、序盤から拮抗した展開が続く。それでも22分には浦和にチャンスが訪れ、MF伊藤美紀の左クロスを清家が落とし、MF角田楓佳がゴールを狙ったが、DFに当たってCKに。I神戸も23分、自陣からのロングボールが相手ゴール前に入り、MF北川ひかるが飛び込んだが、浦和GK池田咲紀子の体を張ったセービングに阻まれた。
 
 試合が動いたのは29分。浦和DF高橋はながゴール前に入れたFKを清家がヘディングで折り返すと、そのままゴールラインを割りそうになったが、懸命に追ったFW島田芽依が足を伸ばしてゴール前に折り返すと、待っていた角田がWEリーグ初ゴールとなる先制点を決めた。

 追い付きたいI神戸は後半開始から、ポストプレーに長けたFW髙瀬愛実を前線に投入。交代策によってFW田中美南が中盤に落ちてボールを引き出せるようになったこと、そして空いたスペースにFW愛川陽菜が飛び出すことで、試合の流れを引き寄せた。

「スキを見せると北川の飛び出しやDF守屋都弥のクロスが入ってくるので、油断できない」と浦和の楠瀬監督が語ったように、I神戸はサイドアタックも効果的。だが「2センターバックは強いなと改めて思いました」と楠瀬監督が称えた、DF石川璃音と高橋のコンビが最後の局面をきっちりつぶし、I神戸にシュートを打たせない。
 
 それでも攻め続けたI神戸は69分、右クロスのこぼれ球から田中がシュートを放うも、ブロックに入った高橋に当たってCKに。71分にも田中がエリア内中央から左足で狙ったが、今度はクロスバーに阻まれて得点には至らない。

 我慢の時間が続いた浦和は74分、DF長嶋玲奈が左サイドからゴール前へロングボールを送る。I神戸も何とかはね返そうとしたが、こぼれ球の落下点に入った清家がゴールに背を向けた状態から、浮いたボールをオーバーヘッドシュート。右ポストに当たりながらも鮮やかに決まってリードを広げると、そのまま2-0で勝利を収めた。
 
 I神戸は浦和の8本を上回る11本のシュートを放つも敗戦。「うまく機能していたけれど、守備のほころびで失点した。浦和相手に2失点すると、ひっくり返すのは難しい」と口にしたフェロン監督は、身長や強さなど、浦和とのフィジカル面の差を感じたと口にした。
 
 浦和は「この試合が日本の女子サッカーを引っ張っていく」(楠瀬監督)との覚悟で挑んだ一戦で手堅く勝利。今季すでに2つのタイトルを手にしているが、気の緩みは見られない。指揮官は「(この日の試合と)最終節を含めた2試合に勝たなければ、真のチャンピオンとは言えない。3強と言われている中から抜け出したい」と意気込み、最終節の日テレ・東京ベレーザ戦も白星しか考えていないことを強調した。

取材・写真◎森田将義


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