上写真=猶本(左)の2得点を挙げる活躍などで浦和が4勝目を挙げた(写真◎森田将義)
■2023年12月24日 WEリーグ第6節(@浦和駒場スタジアム:観衆2,235人)
浦和 3-1 AC長野
得点=(浦)猶本光2、清家貴子
(長)宮本華乃
PKを止められた清家が3点目
浦和は16日に行なわれた皇后杯5回戦・日体大SMG横浜戦の後、20日にWEリーグ第1節延期分のサンフレッチェ広島レジーナ戦を消化しており、8日間で3試合目となる過密日程だった。連戦の疲労による体調不良者や故障者が出たため、決してベストメンバーとは言えない顔ぶれ。要所でのミスや失点もあり、試合後に楠瀬直木監督は「3-1で勝てましたが、リズムを自分たちで壊してしまった。きちんと崩せないと上位争いは厳しい。課題の多いゲームでしたが、何とか勝点をつかめてよかった。苦しいゲームでも勝ち点を取れていて、選手たちの精神的な成長を感じる」と胸をなでおろしていた。
序盤に主導権を握ったのは浦和。7分に高い位置からのプレッシングで相手GKのミスを誘った猶本が、スライディングしながら無人のゴールに流し込んだ。続く9分にも連係で左サイドを崩し、MF伊藤美紀がゴール前にクロス。走り込んだ猶本がボレーで合わせたが、枠を捉えることができない。
対するAC長野は、守備の時間が増えることは想定の範囲内。「チャンピオンチームであるレッズとの個の差は承知の上。攻守にわたってプレッシャーをかけて、奪ってからの展開を速くしようと伝えていた」(廣瀬龍監督)との狙いで、ボールを奪ってから素早くパスをつないで前進すると、19分には左前方でFKを獲得。直接狙ったMF福田ゆいのキックはGK池田咲紀子の好セーブに阻まれたものの、この流れで得たCKをMF宮本華乃が頭で合わせてWEリーグ初ゴールを決め、試合を振り出しに戻す。
追い付かれた浦和に35分、再びチャンスが訪れる。後方からの浮き球に反応したFW清家貴子がエリア内で倒され、PKを獲得。自らキッカーを務めてゴール右を狙ったが、AC長野GK梅村真央が読みを的中させてセーブし、2点目とはならない。清家は試合後に「PKを失敗して嫌な流れ、難しい流れにしてしまった」と肩を落とした。
AC長野は後半開始から2選手を入れ替えて逆転を目指すが、「疲労とともに視野がなくなってしまった。プレッシャーをかけられて逃げていた」と廣瀬監督が振り返ったように、思うように攻め込めない。60分に右クロスのこぼれ球をFW小澤寛が右足で狙ったシュートも、惜しくもクロスバーに当たって決まらなかった。
一方の浦和は「距離感が良くなった」(楠瀬監督)ことでMF柴田華絵や猶本のパスを合図にコンビネーションで崩し、AC長野陣内での時間を増やしていく。63分にエリア内右でパスを受けた清家がクロス気味のシュートを放って会場を沸かせると、73分には左CKに合わせてニアサイドに飛び込んだ猶本が頭で合わせ、再びリードを奪った。
浦和は68分のMF角田楓佳の投入後、右サイドでプレーしていた清家が前線に移動。「監督からの『点を取ってこい』というメッセージだと感じた。(PKを失敗しても)ここでへこんだら終わりだと思っていた」と振り返る清家が、82分にDF水谷有希の左クロスからヘディングシュートを決め、3-1として勝負を決めた。
昨季に2代目のWEリーグ女王となった浦和は今季、他チームからの警戒が強まっている。リーグのレベルアップも進んで苦しい試合が増えているものの、粘り強く勝ち点を積み上げ、この日の勝利で4勝1分け1敗の3位に浮上。「昨季と同じで、うまくいかないときもみんなで声を掛け合いながら、同じ方向を向けている」と池田は口にする。
2023年最後の試合を勝利で終え、年明け1月7日の次節は大宮アルディージャVENTUSとのダービー。負けられない戦いが続くが、今節同様に白星を積み上げ、連覇へとまい進していく。
取材・写真◎森田将義