U−22日本代表はパリ五輪の1次予選に当たる『AFC Uー23アジアカップ予選』(@バーレーン)で連勝を飾った。酷暑とも戦いながら中2日で連戦をこなす選手たちは、グループ首位をキープし、いよいよ開催地バーレーンとの最終戦を迎える(現地時間12日・18時30分=日本時間24時30分)。灼熱の地で取材を続ける飯尾篤史氏がリポートする。

上写真=バーレーン戦に向けてトレーニングする松木玖生(写真◎飯尾篤史)

過酷な環境も成長につなげる前向きな思考

 U23アジアカップ予選(パリ五輪アジア1次予選)はパキスタン戦(○6-0)、パレスチナ戦(○1-0)を終え、バーレーン合宿も1週間に達した。2連勝でグループ首位に立つものの、連日の酷暑と中2日の過密日程のため、選手たちは疲労の色が濃い。

 9月12日の最終戦の相手は、開催国でグループ2位のバーレーン。キックオフ時間がこれまでより3時間も早まることを考えても、難しいゲームとなることが予想される。

 だが、こうしたシチュエーション、環境こそ、松木玖生の大好物だ。

 夜でも35度を越える尋常でない暑さについて「慣れないですよ。無理です」と苦笑しつつ、「でも、この暑さは経験値としてプラス。こういうのにも対応して戦えるようになれれば、どんな環境にも適応できるし、コンディションを作れる選手になれる。良い経験として捉えています」とポジティブだ。

 実際、先発したパキスタン戦では空いたスペースにしっかり顔を出してボールに関わり、77分にベンチに下がるまで足が止めることはなかった。

 51分と60分に中盤から飛び出して獲得したふたつのPKは、「自分の長所は飛び出しやスペースを見つけられるところ。その部分をうまく表現できた」と振り返る真骨頂のプレー。それを、酷暑によって周りの動きが鈍くなる後半に披露できるのが、松木のストロングポイントだ。

 斉藤光毅にスルーパスを通し、三戸舜介のゴールをお膳立てした65分のプレーも見事だったが、特筆すべきは44分、ドリブルで持ち運んだシーンだ。右サイドを駆け上がる山田楓喜に展開しても良かったが、さらに中央へと切り込み、スルーパスから三戸のゴールを演出した。

「前を向いたときに楓喜くんが走ってくるのが見えていて、その選択でも悪くもなかったと思うんですけど、ゴールに直結するようなシーンを自分は求めていたので」

 スタメン10人を入れ替えたパレスチナ戦は温存されたから、バーレーン戦に向けてコンディションは回復しているに違いない。

 今大会の開幕直前に「得点やアシストといった目に見える結果はもちろん、他の選手との違いを見せたい」と宣言したように、その左足でチームを1次予選突破に導くつもりだ。

文・写真◎飯尾篤史


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