U−22日本代表はパリ五輪の1次予選に当たる『AFC Uー23アジアカップ予選』(@バーレーン)の初戦、U-22パキスタン戦に6−0で快勝(6日)。次戦は中2日でU-22パレスチナ代表戦を迎える。そこで左ウイングとして期待されるのが、平河悠(町田)だ。灼熱のバーレーンで取材を続ける飯尾篤史氏がリポートする。

上写真=バーレーンでトレーニングする平河悠(写真◎飯尾篤史)

6月の招集時にはパスポートを持っていなかった!?

 バーレーンで開催中のU23アジアカップ予選は、中2日で3試合の過密日程。おまけに夜でも気温35度、湿度75%の酷暑が選手の体力を削ぎ取っていく。

 そのため、9日に行われるパレスチナとの第2戦ではスタメンの大幅変更が必至。左ウイングとして先発起用が濃厚なのが、FC町田ゼルビアの平河悠だ。

 2001年1月3日生まれだから、パリ五輪世代の最年長。山梨学院大4年生だった昨年は特別指定選手としてJ2の町田で16試合に出場して2ゴール。晴れて町田の一員となった今季はここまで5ゴールをマークし、首位を走るチームの原動力となっている。

「自分がパリ五輪世代っていうことは分かっていたんですけど、去年は大学生だったんで、機会がないというか、難しいだろうなと。でも、今年から試合に出て活躍すれば、チャンスは少ないかもしれないけれど、あると思っていました」

 持ち前のスピードや突破力で町田の攻撃を牽引する平河に吉報が届いたのは今年6月。U-22日本代表の欧州遠征のメンバーに初選出された。

 ところが、ここで大きな問題に直面した。パスポートを持ってなかったのだ。

「これまで海外に行ったことがなかったので。代表合流の10日くらい前に(選出を)告げられて、パスポートを作るのに1週間はかかると。ギリギリ間に合った感じです(笑)」

 大岩剛監督が平河に大きな期待を寄せていることは、起用法から窺える。6月10日に行われたイングランドとの一戦で、左ウイングとしていきなり先発起用したのだ。

 実は平河にとって、海外のチームと対戦するのも初めてのことだった。

「すべてが初めてで、本当に刺激になりました。そこでのスピード感とか、プレミアリーグで知っている選手も多かったので、個の力のところは勉強になりました」

 攻撃面では果敢に仕掛けて、通用する部分を感じ取った。守備面では一度、自身の間合いだったにもかかわらず抜かれたが、全体的に見れば、攻守両面で対人の強さを示すことができた。

「イングランドは強豪でしたけど、やれる自信もありました。初めてだったんで、逆に気負わず自分の力を出すだけだった。そこが逆に良かったのかなと思います」

 続くオランダ戦は73分から途中出場し、いよいよ代表出場3戦目が近づいてきた。パレスチナ戦でスピードスターはどんなインパクトを残せるか。

 ウイングのポジションは、今大会のメンバーでは斉藤光毅(スパルタ・ロッテルダム)、三戸舜介(アルビレックス新潟)、小田裕太郎(ハーツ)、山田楓喜(京都サンガF.C.)、さらには松村優太(鹿島アントラーズ)、佐藤恵允(ブレーメン)などが務める激戦区だが、遅れてきたルーキーが新たなキーマンとして名乗りをあげる。

文・写真◎飯尾篤史


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