Jリーグ初代チェアマンや日本サッカー協会会長を務め、Bリーグ創設にも尽力するなど、日本のスポーツ界の発展に貢献した川淵三郎氏(86)が29日、「キャプテン! 日本のスポーツ界を変えた男の全仕事」(ベースベール・マガジン社刊)の発売を記念した特別講演会を開催。著書に掲載されている話を含め、様々なエピソードを明かした。

上写真=29日、東京・新宿で開催された出版記念イベントで講演を行なった川淵三郎氏(写真◎BBM)

「今はカリスマ監督ではだめ」

 6月30日に発売となった著書『キャプテン!〜日本のスポーツ界を変えた男の全仕事』にはその題名通り、これまでスポーツ界で行ってきた川淵氏の仕事が記されている。自身の生き方として過去を振り返らず、常に前を向いて歩いてきたという川淵氏だが、Jリーグ30周年という節目の年に、その仕事について一度整理し、記すことになったという。

 今回の著書では複数人の関係者が登場し、その時々の川淵氏との関わりや仕事について語っている。川淵氏本人は、その『証言』内容に何度も驚いたそうだ。たとえば、岡田武史元日本代表監督が語ったエピソード。当時、発したという自身の発言について「全く覚えてない」ところがあったとか。

 97年のフランス・ワールドカップ予選途中で加茂周監督を更迭し、岡田武史コーチに監督を依頼した際のやり取りについては今回のイベントでも触れたが、著書の中でも貴重なエピソードが満載だ。トップチームの監督未経験の岡田氏に指揮を託した際の心境を振り返り、川淵氏は講演を聴講していた若者に向けてメッセージを送った。Jリーグを創設するときも、監督経験がない岡田監督に指揮を託したときも、「時期尚早だとか、成功するわけがないと言われた。でも常識をうち破って考えない限り、新しい道は開けない」。川淵氏の仕事は常に、常識への挑戦だった。

 約1時間の講演終了後に実施された囲み取材では、9月にドイツ戦、トルコ戦と対戦することが決まった日本代表について言及。森保一監督の仕事ぶりについて触れる中で「ヨーロッパでプレーしていてトップレベルを知る選手が多い中、今はカリスマ監督ではだめだと思うね」と現在求められる監督像について説明。著書の中で対談したWBC日本代表の栗山英樹監督を引き合いに出し、「まずチームのためと考えるのではなく、選手の力を引き出すことを考えられる監督が今に合っている」と話し、栗山監督と森保監督には「似ているところがある」とも語った。

『キャプテン! 日本のスポーツ界を変えた男の全仕事』
・川淵三郎/著
・2023年 6月30日発売
・四六並製・352頁
・定価 1,870円(税込)


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