上写真=Jリーグ特任理事の中村憲剛氏から記念の楯を受け取った鳥取の塚野真樹・代表取締役社長(写真◎J.LEAGUE)
ファン・サポーターの一般投票で選考
地域に根差したプロスポーツクラブの持つ価値を、いかんかく発揮している社会連携活動を称える目的で実施されている『シャレン!アウォーズ』は、今年で4回目。今回はJリーグ30周年に合わせ、昨年の活動に限らず『これが自分たちのクラブの代表的なシャレン!』という活動を選考対象とし、全60クラブからエントリーがあった。
鳥取は今回、2020年の第1回でメディア賞(報道各社のスポーツ担当記者などが選考委員となり、「自身の媒体で取り上げたいと思う活動」を選考)を受賞した『しばふる』と、2021年の第2回で同じくメディア賞を受賞した『復活!公園遊び』を、ミックスして発展させた『継続は笑顔なり。20年かけてつながった2つのシャレン』でエントリー。各クラブのファン・サポーターの「自身が応援しているクラブの地域でも実施してほしいと思える活動であること」という基準に沿って、一般投票で選考された『ファン・サポーター選考賞』(2023年に新設)を受賞した。4年連続の受賞は全60クラブで唯一となる。
鳥取が2017年から活動している『しばふる』は、鳥取県米子市の練習拠点・オールガイナーレYAJINスタジアムの施設管理で培った芝生ノウハウをもとに立ち上げたプロジェクト。米子市の地域課題である遊休農地(後継者の不在などで手がつけられず、荒れている耕作放棄地)を借りて芝生を生産し、その芝生を教育施設や多目的広場、社屋などに販売するというものだ。芝生の生産はスタッフだけでなく、企業協力や障碍(しょうがい)者による軽作業協働でも実施しており、生産した芝生による施工実績を重ねている。
もう一つの『復活!公園遊び』は、鳥取が当時J2の一つ下のJFLに在籍していた2003年に始めた活動。選手やスタッフが〝ガキ大将のお兄ちゃん〟となり、鬼ごっこなどの体を使った昔懐かしい遊びを通して、子どもたちの心と体のすこやかな成長を目指すものだ。ゲリラ的に公園に出向いていた当初から、現在は幼稚園・保育園や小学校などを訪問する形で実施しており、シーズン中も選手が週1回、各地に出向いて活動している。
近年は『しばふる』で生産した芝生が敷かれた施設で『復活!公園遊び』を行なうことが増えており、『20年かけてつながった2つのシャレン』でのエントリーにつながったというわけだ。5月11日には、昨年度に校庭が芝生化された米子市の淀江小学校にDF鈴木順也、DF飯泉涼矢、MF知久航介が出向いて『公園遊び』を実施。芝生の上を元気に駆け回る子どもたちの歓声が響いた。
20年前に自ら『復活!公園遊び』を立ち上げた塚野真樹・代表取締役社長は、受賞を受けて「全クラブのファン・サポーターの皆さんの投票数で決定される賞を受賞できましたこと、本当に感慨深いものがあり、協働いただいた皆様とともに喜びを分かち合いたいと思います」などのコメントを発表。「30年前に誕生したJリーグは、全国のスタジアムを常緑のピッチに変えていきました。クラブにできることも、まだまだ数多いと考えて引き続き努力してまいります。投票いただきました皆様、鳥取に勇気を与えて下さいましたこと、オールガイナーレを代表して心より感謝申し上げます」と喜びを表現した。
また、現役最後のクラブとなった鳥取で選手時代に『復活!公園遊び』を行なっていた岡野雅行・代表取締役ゼネラルマネージャーは、「2003年から長年続けてきた『復活!公園遊び』、そして2017年から取り組んできた『しばふる』が2022年につながり、クラブが作った芝生の上で、たくさんの子どもたちの笑顔を見ることができました」などとコメント。「ファン・サポーター選考賞を通して、たくさんの皆様に取り組みを知ってもらえたことは、ガイナーレ鳥取にとって財産です。これからも地域の皆さんとともに、この活動を続けていきたいと思っております」と今後を見据えた。