皇后杯 JFA 第44回全日本女子サッカー選手権大会の準決勝が1月22日、京都府のサンガスタジアム by KYOCERAで行なわれ、第2試合ではINAC神戸(I神戸)と、ちふれASエルフェン埼玉(EL埼玉)が対戦。I神戸が後半の決勝ゴールで接戦を制し、28日の決勝に駒を進めている。

上写真=I神戸がEL埼玉に競り勝ち、決勝進出を決めた(写真◎森田将義)

後半の勝ち越し点で勝利

 今季のWEリーグ第8節終了時点で首位を走るI神戸は序盤、朴康造監督が「(ピッチ状態によって)ボールが走らなかったので、5分間は相手の背後を狙ってセカンドボールを拾おうと伝えた。相手を揺さぶりながら、バイタルエリアを突こうと考えていた」と語った狙いで相手ゴールに迫る。だが攻撃が単調になり、なかなかボールが落ち着かない時間が続いた。

 それでも時間の経過とともにリズムが良くなり、17分にはDF井手ひなたのロングボールをFW髙瀬愛実が競り合い、右サイドにこぼれたボールをMF守屋都弥がシュート。22分には右サイドからのパスを中央の髙瀬が落とし、FW愛川陽菜が狙ったが、枠を捉えられなかった。25分にはMF成宮唯から右サイドに展開。相手DFの裏に抜けた髙瀬からのマイナスの折り返しを成宮がダイレクトで合わせたものの、クロスバーに当たって決まらない。

 チャンスを作りながらも1点が遠かったI神戸だが、ようやく32分に試合を動かす。「ボールを運びながら顔が上がる選手は、なかなかいない」と朴監督が評するDF土光真代が、自陣右サイドから前線に展開。愛川が競ったボールを髙瀬がフリーで受けると、冷静にループシュートを決めた。
 
 追いかける展開となったEL埼玉は、2019年以来のベスト4進出。田邊友恵監督が「クラブの歴史を変える一戦ということで、選手も気合を入れて挑んだ。絶対に1点は取られると思っていた」と振り返ったように、失点も意に介さず、すぐに反撃のチャンスをうかがった。すると39分、自陣からのFW西川明花のクリアが相手ゴール前へ。前に出てきたI神戸GK山下杏也加のキックがMF吉田莉胡に渡り、そのまま無人のゴールに流し込んで同点とする。

 1-1で折り返した後半は、お互いに決定機を作れないまま時間が進んだが、62分にI神戸が勝ち越し点を奪う。愛川が左サイドの高い位置で抜け出すと、「ボールを持ったとき、スピードでいけるなと思ったけど、都弥さんが見えて『こっち』みたいな感じで声を出してくれたので」と語る判断で中央の守屋へ。粘ってつないでからのMF伊藤美紀のシュートは相手DFに阻まれたが、こぼれ球を「延長は嫌だったので、ラスト45分で決めたかった」という成宮が蹴り込んだ。

 その後はEL埼玉が選手交代を交えて再び同点を狙うも、I神戸が2-1で勝って決勝に進出。土光は「90分間を通してINACのサッカーができなかった。つなぐところとロングボールを使い分けたかった」と反省点を口にしつつ、「課題は多いけど、決勝に行けたのはプラス」と前を向いていた。1月28日15時から大阪府のヨドコウ桜スタジアムで行なわれる決勝では、日テレ・東京ヴェルディベレーザと対戦する。

取材・写真◎石倉利英


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