上写真=5人目のPKキッカーとなったラウタロ・マルティネスが沈め、激闘に終止符を打った(写真◎Getty Images)
■2022年12月9日 カタールW杯 準々決勝(ルサイル)
オランダ 2-2(PK3-4) アルゼンチン
得点者:(オ)ワウト・ウェフホルスト2
(ア)ナウエル・モリーナ、リオネル・メッシ
アルゼンチン優勢
両軍合わせて16枚ものイエローカードが飛び交った乱戦はPK戦の末、アルゼンチンが勝利して準決勝進出を決めた。
アルゼンチンはメインシステムの4-3-3ではなく、逃げ切り用として採用してきた5-3-2システムで準々決勝に臨み、同じシステムを使うオランダとにらみ合うような戦いをした。その結果、オランダの2トップであるメンフィス・デパイ、ステフェン・ベルフワインの俊足を封じ込めた。
すると、アルゼンチンは35分、わずかな隙間を通したリオネル・メッシのスルーパスを受けたナウエル・モリーナが冷静にGKとの一対一を決めて先制した。
後半、ボールを持たされる形になったオランダに対し、アルゼンチンはなかなか好機を作らせない。64分、オランダは今大会初めてシステムを4-3-3に変えたが、アルゼンチンは厚い守備の壁を崩させなかった。逆にアルゼンチンは73分にメッシがPKを決めて、スコアを2-0とした。
オランダの粘り
追い込まれたオランダは、4-3-3をあきらめて4-4-2/4-2-4に切り替え、長身ストライカーのルーク・デヨング、ワウト・ウェフホルストにロングボールを集める戦術を採った。これが功を奏し、83分にステフェン・ベルフハウスのクロスをウェフホルストがヘッドで合わせて1点差に詰め寄る。後半アディショナルタイム11分にFKを得たオランダは、壁になった相手選手の飛んだスペースにパスを通すトリックプレーを見せ、ウェフホルストが反転シュートを決めて2-2に追いついた。
驚異の粘りを見せたオランダだったが延長戦では勢いを持続することができず守勢に回った。アンヘル・ディ・マリアを投入したアルゼンチンに延長後半、圧倒的に攻められ、120分にはエンソ・フェルナンデスに強烈なシュートを放たれるも、この場面はポストに救われた。
PK戦では1番手キッカーで明暗
PK戦では両チームのキャプテンが1番手を務め、先攻のオランダのフィルジル・ファンダイクが失敗したのに対し、アルゼンチンのメッシは成功。これでPK戦の流れが決まり、アルゼンチンが4-3で制した。GKエメリアーノ・マルティネスはオランダの2番手ベルフハウスのキックもストップし、PK戦勝利の立役者になった。
2014年W杯準決勝に続き、アルゼンチンはPK戦でオランダを上回った。一方で、「PKの呪縛」と呼ばれるほどPK戦を苦手とするオランダは、またもビッグイベント(W杯、EURO)においてPK戦で姿を消すこととなった。