上写真=遠藤航が中盤に立ちはだかり、球際の強さでドイツを押し返した(写真◎Getty Images)
■2022年11月23日 カタールW杯E組(ハリーファ)
ドイツ 1-2 日本
得点者:(ド)イルカイ・ギュンドアン
(日)堂安律、浅野拓磨
個人とチーム、2つの証明
「正直、この試合にかけていました、初戦だし、ドイツとの試合なので、後のことは考えずに勝ち点3を取ることだけを考えて、それが達成できて個人的にうれしいです」
遠藤航はドイツ1部のブンデスリーガで戦って、過去2シーズンは「デュエル王」に。1対1のバトルに勝ち続けて称号を得たその実力を、世界最高のワールドカップの舞台で、ドイツを相手に存分に発揮した。ドイツからボールを奪い、スタンドから大きな喝采が沸き起こったのは一度や二度のことではない。
「前半は厳しい戦いになりましたけど、後半にシステムを変えて前向きになって2点を取る姿勢を見せられたと思いますし、個人的には4年間、ブンデスリーガでやってきたことを証明できたのかなと思います」
前回のロシア・ワールドカップでは出場なし。そこからヨーロッパに渡って力を蓄え、4年後の今日、王の王たる所以を証明してみせた。
日本がワールドカップで初めての逆転勝利を手にした裏には、システム変更があったことは間違いない。前半の4-2-3-1システムから、冨安健洋を投入した後半に3-4-2-1システムへ。遠藤はさらに踏み込んで「5バック気味にしました」と証言した。
「5バック気味で後ろでマンツーマン気味に守ることができて、中盤でもマークがはっきりして前へのプレスもはまって、アグレッシブにできました」
交代選手も使いながらあっという間に劣勢をひっくり返すと、75分に堂安律、83分に浅野拓磨が決めて大逆転に成功。ゴールを挙げた2人も同じブンデスリーガで戦う選手だ。
「3バックはオプションとしては常に持っていて、今日は0-1の段階で変えましたが、日本人の良さが出たと思います。システムを変えても臨機応変にできるのは僕たちの良さで、それを証明できたと思います」
個人としての力の証明、そしてチームとしての総合力の証明。大会直前に脳しんとうになって心配されたが、きっちりとこの試合に合わせただけではなく、最高のプレーと最高の勝利をもたらした。
「でも、これでグループステージの突破が決まったわけではないので、まずはしっかり休んで、次の試合でも勝ち点3を取れるように切り替えたい」
王に慢心はない。