多くの国がU23代表として大会に臨む中、日本はパリ五輪世代のU-21代表として、『AFC U23 アジアカップ・ウズベキスタン』に参加した。チーム立ち上げ後、初めてアジアのライバルたちとAFCの公式戦で対戦したが、結果は3位。彼らはそこで何を得て、何を知ることになったのか。現地で取材した飯尾篤史氏が総括する。

森保監督に「いいプレーしています」と伝えた

画像: 藤田譲瑠チマは今大会で評価を高めた一人だろう(写真◎AFC)

藤田譲瑠チマは今大会で評価を高めた一人だろう(写真◎AFC)

 韓国との準々決勝では、相手がグループステージから形を変更してきた。しかし、「プランBまで用意していた」と大岩監督が言えば、ボランチの山本理仁も「そこはあまり混乱しなかったし、相手の左センターバックに持たせて、そこからハメて行くプランに変わりはなかった」と涼しい顔を見せたように、このゲームは日本のペースで進み、3-0の完勝を収めた。

 相手を見ながら臨機応変に戦えるあたりに、サッカーIQの高い選手が多いこと、指揮官によってポイントを絞った落とし込みがなされていることが感じられた。

 一方、経験のなさも露呈した。ウズベキスタンとの準決勝では、疲労の蓄積からチーム全体の動きが鈍く、相手に主導権を握られてしまう。単純なミスが増え、チェンジ・オブ・ペースができないまま60分に先制を許し、89分にダメ押しゴールまで決められた。

「相手の勢いに飲まれたまま、90分サッカーをしてしまった」

 自身もミスが目立った藤田がそう振り返れば、それまでの試合は好セーブでチームを救ってきたGK鈴木彩艶もこう悔やんだ。

「1失点で抑えていれば、最後にチャンスがあったと思うけど、あの時間帯で2失点目を喫すると苦しくなる。2失点目こそ、自分が工夫できたんじゃないかと感じます」

 こうした試合運びやゲームコントロールの向上、リーダーシップを備えた選手のさらなる登場、個人の成長に加え、「ボールを簡単に放棄してしまう場面がたくさんあった」(大岩監督)ことの改善は、ここからの先のテーマとなる。

 とはいえ、指揮官も選手たちのパフォーマンスには手応えを掴んだのではないか。その証拠に、大岩監督は3位決定戦の翌日、こんなことを話している。

「もう森保(一)さんに推薦しました。推薦というのは変ですけど、いいプレーをしていましたよ、と伝えました」

 7月下旬、日本、韓国、中国、香港の4チームで争われるE-1サッカー選手権2022決勝大会が日本で開催される。A代表を率いる森保監督は、Jリーグでプレーする選手たちだけで戦うと明言。そのA代表の指揮官に大岩監督は、U-21世代の何人かを推したというのだ。

 今大会でのプレーぶりや7月上旬のJリーグでのパフォーマンスによって、果たして何人のU-21代表戦士がA代表に選ばれるのか。

 むしろ、「A代表経由・五輪行き」をスローガンに掲げているのだから、複数の選手がE-1選手権のメンバーに食い込むべき、とも言える。

 選ばれた選手たちがA代表のスタンダードに触れて刺激を受け、さらに成長を加速させれば、それはそのままU-21日本代表のチーム力アップにもつながっていく。


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