上写真=鈴木海音は「セットプレーの攻撃で中心になって関わりたい」とゴールを狙う(写真◎スクリーンショット)
「完璧ではないですけどね」
「もう後悔したくない」
その思いが足を動かした。U-21日本代表がアジアの頂点を目指してウズベキスタンで戦っているU-23アジアカップ。UAEとのグループステージ初戦を2-0の勝利で飾り、続くサウジアラビア戦では0-0。右センターバックの鈴木海音はサウジアラビア戦のアディショナルタイムに、大ピンチを救ってみせた。
最終ラインの中央でコンビを組むチェイス・アンリの裏に、サウジアラビアがミドルパスを落としてきた。いち早く察知した鈴木海が猛然とカバーに入る。
「19番の選手が背後に流れて来たときに、ボールを持っている選手があそこに出す雰囲気があったんです。そこに出されてシュートまでいかれたら嫌だったので、早く行こうと思いました」
しっかり追いついて体を寄せた。
「中に行かせなければいいと中を切りながらいきました。奪いきったり外に出せればよかったんですけど、相手の足が思ったより伸びてシュートまでいかれてしまいました。でも、シュートコースは防げていたと思ったので、後ろの(鈴木)彩艶を信じて防げたと思います」
その言葉通りに、相手の切り返しにも惑わされずに中のコースを切りつつ角度のない方へ誘導し、シュートを打たれてもGK鈴木彩が十分に止められる場所に追い込んだ。
「完璧ではないですけどね。今年は(栃木SCで)試合に出させてもらっている中で、終盤で失点してしまうことを何度も経験しています。そういう思いはもうしたくない、後悔しないようにと声をかけ続けて、最後まで集中を切らさないようにと思ってああいうプレーができたことは、成長している部分だと思います」
相手は84分に入ったばかりでフレッシュな状態。それでも事前の予測でしっかりとスピードに追いついて守り切った充実感だ。
初戦となるUAE戦では、ビルドアップで素晴らしいパスを2度にわたって送っている。ピッチを横断する左からの横パスを受けると、素早いテンポで右斜め前に開いた右サイドバックの内野貴史へ滑り込ませるように届けたスピードボール。
「一個飛ばしのパスだったり、速いパスをあそこにつけるのは自分の武器でもあります。内野選手には試合前日の練習から、もっと強いパスを出していいよと言われていて、前半はそういう場面は多くなかったけれど、ボールが逆サイドから来たときに早くつけられたことが良かったと思います」
このパスの両方ともがゴールにつながっている。受けた内野の判断ももちろん素晴らしかったが、そもそもそこにボールを届けられなければ生まれなかったゴール。
有効なパスと頼もしいカバーリングで存在感を見せている日本の壁。さらに高く、厚くなるための日々を過ごしている。