上写真=大岩剛監督はサウジアラビアの「変化」を警戒する(写真◎AFC)
3月の対戦では1-0の勝利
鈴木唯人の先制弾、直後に追いつかれ、さらにPK献上の大ピンチとGK鈴木彩艶のビッグセーブ、そして細谷真大の豪快決勝ヘッド。U-21日本代表が臨むU-23アジアカップ、6月3日のUAEとの初戦はジェットコースターのようなスリルに満ちた勝利だった。
大岩剛監督は「自分たちがやるべきことを再確認できた意味では、厳しい試合でしたが、非常に意味のある初戦だったと振り返っています」と静かに話す。「プランしていた持ち出し方、相手がいることでそこに変化を加えるところでアジャストできなかった」と、相手が厳しくプレッシャーを掛けてきたことに対応して、ビルドアップの方法を柔軟に変化させるところに課題を指摘する。
それでも「後半になって少しボランチの立ち位置を変えてヘルプを多くして、使えるスペースを増やしました」と微調整して勝利に導いたのは収穫だ。松岡大起をアンカーに据え、その前に藤田譲瑠チマと鈴木唯人を配置するミッドフィールドを、後半は藤田を低めに構えさせて最終ラインからボールを引き出す出口を増やし、鈴木唯はより前線に近い位置で細谷真大とともにゴールに迫った。
「試合前はいつもどおりと思っていたけれど、いざ試合に入ったときにはUAEの強度やスピードに戸惑った感じを受けました」
国際大会の初戦の難しさを痛感することになったが、それでも勝利をもぎ取ったことに意味がある。何しろ、グループステージ第2戦の相手は強敵のサウジアラビア。その前に、大会に慣れたこと、勝ち点3を手にしたことは最高の自信になる。
そのサウジアラビアとは3月のドバイカップの決勝で対戦し、細谷のゴールを守りきって1-0で勝って優勝している。しかし、うまくてタフで難敵であることは変わりない。相手があのときのリベンジに燃えてくることは明らかだろう。
「たくさんの情報を仕入れていますが、フタを開けてみなければわからない」と大岩監督は慎重だ。
「ドバイカップからメンバーも変わってるし、戦い方も変わっています。情報がたくさんある中で、選手たちには削って知らせます。向こうのプランもそうですが、我々のプランを理解させる作業が必要です」
サウジアラビアは初戦でタジキスタンに5-0と圧勝している。その攻撃力をどう封じるか、そしていかにゴールを奪うか。パリ・オリンピックを目指す世代には越えなければならない壁だ。中2日の厳しい日程で、メンバー選考にも注目が集まる。6月6日の決戦、キックオフは日本時間の22時だ。