Jリーグは10月19日、メディアブリーフィングを行った。一部報道で「ホームタウン制度撤廃」に動いていると報じられた件を受けての説明となった。すでに村井満Jリーグチェアマンが声明を発表したように、ホームタウン制度の変更はないことが改めて強調された。

上写真=ホームタウン制度の撤廃はなし、とJリーグが改めて説明した(写真◎J.LEAGUE)

ネーミングライツは「検討のための検討」

 一部報道で「Jリーグでホームタウン制度撤廃か」と大きな話題となった件で10月19日、Jリーグが説明を行った。パートナー・放映事業本部の出井宏明本部長が「個人の感想になるかもしれませんが」と断ったあと、こう感慨深く話した。

「ファン・サポーターの皆さんや、さまざまな方からお声を頂戴しました。いままでJリーグが大事にしてきたホームタウン制度はやっぱり大切なんだ、地域とともに歩むJリーグに価値を感じていただいているな、と改めて感じた次第です。その思想の原点は大事にしながら、時代に合わせてマーケティングの観点においてもどのように進めていくのかが大事だなと思いました」

 雨降って地固まる、といったところだろうか。

 木村正明専務理事と出井本部長がともに強調したのは「理念を具現化する規約や活動方針に一切の変更はない」こと。つまり、ホームタウン制度の撤廃はないという事実だ。

 Jリーグ規約にはこうある。

第 24 条〔Jクラブのホームタウン(本拠地)〕
 
(1) Jクラブは、理事会の承認を得て特定の市町村または特別区をホームタウンとして定め
なければならない。ただし、次の各号の条件を満たし、理事会の承認を得た場合には、
複数の市町村、特別区または都道府県をホームタウンとすることができる。
1 自治体および都道府県サッカー協会から全面的な支援が得られること
2 支援の中核をなし、市町村または特別区の取りまとめ役となる自治体を定めること
3 活動拠点となる市町村または特別区を定めること
 
(2) Jクラブはホームタウンにおいて、地域社会と一体となったクラブ作り(社会貢献活動
を含む)を行い、サッカーをはじめとするスポーツの普及および振興に努めなければな
らない。
 
(3) Jクラブは活動区域(第 31 条に定義する)内でホームゲームを開催するにあたり、活動
区域内の協会加盟団体等と他大会の日程およびキックオフ時刻等の調整を行い、多くの
サッカーファンがホームゲームを観戦できる環境の整備に努めなければならない。
 
(4) Jクラブのホームタウンは、原則として変更することができない。
 
(5) やむを得ない事由により、ホームタウンを変更する必要が生じた場合には、変更の日の
1年以上前までに理由を記載した書面により理事会に申請し、その承認を得なければな
らない。ただし、第 54 条に定める開催期間の途中における申請は原則として認められな
い。

 ここに変化を加えることはない、と木村専務理事、出井本部長ともに断言する。ただ、時代とともに変化が必要な領域があるのは事実である、という認識だ。

 今回の議論になったのは、マーケティングの分野。これまでもさまざまな形で検討・変化が加えられてきたが、出井本部長は企業や自治体、ファン・サポーターが「望むのであればそこに価値を提供しなければいけないのではないか」という意見があったことも説明した。例えば、東京都内に在住・在勤の故郷のクラブのファン・サポーターに、そのクラブの情報が提供されることが制限されるのは避けなければならない、という考え方だ。

 すでにスポンサーセールスなどオープンになっている分野も多く、今回の議論の中では例えばの話として、出井本部長はこんな事例を紹介した。

「サンフレッチェ広島のホームゲームを、東京のどこかの映画館でパブリックビューイングを実施しよう、という話があるとします。これまでもできたことではあるのですが、明確な話にならなかったために、お互いに遠慮していた部分はありました。今後はそれを求めればできるようになるということです」

 これまでもクラブ間での話し合いで可能でありながら実施していなかったことも、再整理するイメージだという。現在はすべてのクラブと「地域に閉じない活動を含めた地域貢献」を推進していくことなどに合意しているといい、今後は2022年シーズンに向けて規約やガイドラインなどに落とし込んでいく作業が進められるという。

 なお、一部報道でクラブ名のネーミングライツについて触れられていたが、木村専務理事は「検討のための検討というステータス。いま何かが決まっていることはなく、クラブにヒアリングしている状況」と説明している。


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