あの頃があるから今がある――。この連載では大学時代に大きく成長し、プロ入りを果たした選手たちを取り上げる。第9回は、国士舘大での4年間でプレーの幅を広げ、現在は東京ヴェルディで活躍する佐藤優平だ。

上写真=横浜FMユースから国士舘大に進学した佐藤。4年時にはキャプテンを務めた(写真◎関東大学サッカー連盟/飯嶋玲子)

文◎杉園昌之 写真◎関東大学サッカー連盟/飯嶋玲子、J.LEAGUE

3部練習は当たり前

 キャプテンシーにあふれていた。中盤で精力的にハードワークをこなし、大きな声で仲間を鼓舞。終盤の時間帯になっても、足を止めずに球際で戦い続ける。小学生の頃から横浜F・マリノスのアカデミーで育ってきたエリートは、初めての体育会で一から鍛え直された。佐藤優平は国士舘大での4年間で、スマートな技巧派ボランチから脱却した。

「メンタルが強くなりましたよ。気持ちでは絶対に負けない。相当、走り込みました。練習から追い込むことがどれほど大事か、身をもって知りました。後半の最後になると、顕著に出ます」

 鬼の夏合宿は歯を食いしばって、食らいついた。3部練習は当たり前。早朝から走り、午前中にまた走る。午後から全体練習をこなし、またまた走る。時には理不尽に思うこともあったが、それでもヘソを曲げることはなかった。

「試合に出る選手は、走り切っています。そこの壁を乗り越えないといけない。すべては自分にはね返ってきます。途中で倒れる選手もいましたけど、そこで倒れていてはレギュラーになれません。僕は絶対に試合に出たかったので。目標はプロになること。そこだけはブレなかったです」

 言葉から芯の強さがにじみ出ていた。ユース時代にトップ昇格できなかった悔しさを片時も忘れたことはない。同期の齋藤学(現・川崎フロンターレ)、端戸仁(現・東京ヴェルディ)がプロで活躍する姿から刺激を受け、必死にトレーニングに打ち込んだ。ユース時代は真剣に見なかったサッカーの研究も怠らず、ゲームの流れを読めるようになった。


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