上写真=青森山田の武田(左)と静岡学園の松村。両校の10番の出来は勝敗を左右するポイントの一つだろう(写真◎小山真司、福地和男)
多彩な攻撃パターンの青森山田
令和初の高校選手権で決勝に進んだのは、23年連続25回目の出場、青森県代表の青森山田と、5年ぶり12回目の出場、静岡県代表の静岡学園。世代を超えたサッカーファンの注目を集める一戦となりそうだ。
青森山田が狙うのは、2000年度、01年度の国見(長崎)以来となる大会連覇。黒田剛監督が率いるチームは、今年度も攻守に隙のない集団に仕上がっている。強いフィジカルをベースに、「何でもできるようにする」(黒田監督)ことを志向し、Jクラブユースも参加する高円宮杯プレミアリーグEASTで3年ぶりに優勝。さらに名古屋U-18(WEST王者)との高円宮杯プレミアリーグ・ファイナルも制し、『高校年代日本一』の称号を手にしている。
今大会、昌平(埼玉)との準々決勝、帝京長岡(新潟)との準決勝では相手にボールを支配される時間が長かったが、我慢強く戦い、接戦を物にした。「サッカーというスポーツは、ボールを支配している方が強いわけでもないので、しっかり(ゴール前に)侵入させないように。または、横パスを奪ってカウンターにつなげるところを狙いとして持っています」と黒田監督。パスをつなぎながら攻め崩すことができる一方で、堅守からの鋭いカウンターも他を寄せつけない迫力を持ち、CKやFK、ロングスローなどリスタートからもゴールに迫るなど、豊富な得点パターンを持つ。
チームの中心はJ1浦和への加入が内定しているMF武田英寿。高いキープ力で攻撃を組み立て、準決勝までに3ゴールと得点力も高い万能型の司令塔だ。他にも横浜FC加入内定のMF古宿理久、スーパー1年生のMF松木玖生など多くのタレントを擁し、ゲーム展開に関係なく勝利を手繰り寄せる勝負強さがある。
2000年代はなかなか決勝にたどり着けず、初めてファイナルに残りながらも涙をのんだ2009年度大会などを経て、2016年度に初優勝してからは、4年間で3度目となる決勝進出。黒田監督が「埼玉スタジアムは、この2年間で1度も負けたことのないスタジアム。我々はここにたどり着いたというよりも、帰ってきたという感覚」と語るように、大舞台に慣れていることも大きなアドバンテージとなるはずだ。