広島がホームで神戸に大勝。前節までリーグ戦5試合で4勝を挙げるなど調子を上げてきた相手を、クラブタイ記録のゴールラッシュで退けた。GK大迫敬介は2失点したものの、前半のピンチでファインセーブ。難しい状況での冷静な対応が、公式戦6試合ぶりの勝利を引き寄せることとなった。

上写真=ゴール裏から捉えた25分の大迫のセーブ。最後まで我慢して動かず、ニアサイドへのシュートを右手で防いだ(写真◎石倉利英)

■2019年10月5日 J1リーグ第28節
 広島 6-2 神戸
  得点者:(広)稲垣祥2、森島司2、川辺駿、ドウグラス・ヴィエイラ
      (神)古橋亨梧、田中順也

「もう一度、上位へ」

 広島のJ1リーグでの6得点は、1993年11月13日のG大阪戦(○6-3)など過去3回の例があり、史上4回目のクラブタイ記録。派手なスコアに目を奪われがちだが、試合展開を振り返ると、1-1で迎えた25分のプレーが勝敗を分けたポイントの一つだった。神戸FWダビド・ビジャがカウンターからドリブルで左サイドを進み、エリア内で縦に持ち出して左足で狙う。前節、川崎F戦の先制点と同じような場所から、同じようにニアサイドを狙ったシュートだったが、大迫が右手ではじき出してCKに逃れた。

 ピンチを防いだシーンを、大迫は「練習やウォーミングアップで、あの角度(のシュートストップ)をやっていた。先に動かず、我慢してうまく守れたと思う」と振り返る。広島はこの日、開始5分にMF稲垣祥が決めて先制したものの、19分に失点。立て続けに失点して逆転されていれば、一気に神戸ペースになっていてもおかしくなかったが、大迫のファインセーブで難を逃れると、39分に再び稲垣が得点。リードして前半を折り返したことで、相手に主導権を渡さずに済んだ。

 広島は2-1とした後、前半のうちにPKのチャンスもあったが、FWドウグラス・ヴィエイラのキックが神戸GK飯倉大樹に止められた。65分にフリーで抜け出したD・ヴィエイラを倒した神戸DF大﨑玲央が退場となり、これで得たFKをMF森島司が直接蹴り込んで3-1に。2点差、さらに数的優位にも立って勝利が見えてきたかと思われたが、77分に一瞬のスキを突かれて失点し、再び1点差に詰められた。

 こうした展開に、大迫も「相手が1人少ない状態で、もっと自分たちのゲームをしなければいけない」と反省点が口を突いた。84分以降に3得点を奪ったことで、結果的に大差がついたとはいえ、「前半も1点を取った後、相手のホットラインを警戒していたのに、やられてしまった(ビジャからFW古橋亨梧へのパスから失点)のは、ゴールキーパーとして悔しい。自分がもっと早めに伝えるなど、何かできたんじゃないかと思います」と、すべてが納得のいく出来だったわけではない様子だった。

 とはいえ、広島は9月の公式戦5試合で勝利がなく、ルヴァンカップと天皇杯では敗退。6試合ぶりの勝利を「前節も勝てた試合で、もったいない失点だった(名古屋相手に先制したが追い付かれ、1-1で引き分け)。今日も失点のところには目を向けなければいけませんが、勝ち点3を取れたことは大きな進歩」と語った大迫は、「もう一度、上位に食い込んでいきたい」と意気込みを語った。
 
 この日のJ1全試合を終えて広島は暫定4位に浮上。大迫は明日6日からチームメイトの森島とともにU-22代表のブラジル遠征に参加し、帰国後に再開する残り6試合で逆転優勝を目指すことになる。

取材・写真◎石倉利英

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