前節セレッソ大阪とのダービーマッチに敗れたショックを引きずることなく、ガンバ大阪は一丸となって札幌との試合に臨み、今季最多のゴールを奪って快勝した。次週のルヴァンカップ準決勝に向けても弾みのつく勝利は、いかにして生まれたのか。

上写真=G大阪に復帰以来、ホームで初となる今季2点目を挙げた宇佐美(写真◎J.LEAGUE)

■2019年10月4日 J1リーグ第28節
G大阪 5-0 札幌
得点者:(G)倉田秋、宇佐美貴史、アデミウソン、藤春廣輝、渡邉千真

姿勢で納得させなければいけない(東口)

 G大阪にとっては、負けられない試合だった。27節終了時点の順位は、14位。J2のプレーオフ勝者との入れ替え戦に回る16位(鳥栖)との勝ち点差はわずかに3。選手は危機感を募らせ、この一戦に強い思いで臨んだ。東口順昭が言う。

「前節、(C大阪に)ああいう負け方をして、ホームでどれだけ見せられるかが大事だったと思う。姿勢で、サポーターを納得させないといけなかった」

 果たしてG大阪の選手たちは、ピッチでその姿勢を示した。前半は札幌の宮澤裕樹にボックス内で倒されて得たPKをアデミウソンが外すなど好機を逸したが、後半、札幌のメンバーチェンジに乗じて狙いを形にしてみせる。ジェイとアンデルソン・ロペスが担うようになったサイドエリアの守備が緩慢になったのを見逃さず、素早いボール運びと展開からゴールラッシュを実現したのだ。

 先制したのは倉田秋。宇佐美貴史→小野瀬康介→アデミウソンとリズムよくパスをつないで右サイドを崩し、最後は中央を駆けあがった倉田が決めた。続いて2点目。今度は左サイドから攻略する。宇佐美が左サイドに流れた倉田にパスを出し、そこから中央のアデミウソンへ。エリア内にタイミングよく走り込んだ宇佐美が再びボールを引き取り鮮やかにネットを揺らした。3点目は矢島慎也のボール奪取から井手口陽介、小野瀬と右に展開し、小野瀬のクロスをアデミウソンが頭で決めた。

「札幌の特徴は長身の選手がゴール前にいるということ。中を厚くしたかったので3バックにした。マリノス戦の途中から4バックでプレーしていたが、たとえば井手口(陽介)のコンディションが上がってくるとか良いところもあるものの、少し攻撃が停滞するところもあり、(今日は)もう少し早い攻撃をしたかったので、そこに人を置けるように、縦に推進力のある選手を置けるような布陣にした」

 この日、3バックで臨んだ意図を宮本恒靖監督はそう説明した。特に後半は守備面、攻撃面とも見事にその狙いがハマった。小野瀬、福田の両翼が自由にプレーし、インナーハーフの倉田と井手口も推進力を発揮。そして2トップのアデミウソンと宇佐美がフィニッシャーとしての役割を担った。

 点差が開き、守備面の混乱を修正できない札幌に対して、なおも攻撃の手を緩めないG大阪は、福田湧矢に代わって左翼に入った藤春廣輝が4点目、宇佐美に代わって登場した渡邉千真がアディショナルタイムにミドルシュートで5点目を叩き出し、今季最多の5ゴールを集めて快勝した。

「全員、このチームに関わるみんながダービーに負けたことに対するリアクションを見せないと、という気持ちが強かった。それが出た試合だと思う」(宮本監督)

 残留争いに巻き込まれないために是が非でも勝ち点3がほしかった一戦に勝ち切っただけではなく、ダービーで敗れたショックを払しょくする意味でもG大阪には大きな勝利だった。さらに次週、同じく札幌とホーム・アンド・アウェーで対戦するルヴァンカップ準決勝にも弾みのつく内容だろう。

 ただ、東口は気を引き締めることを忘れなかった。

「ルヴァンカップはホームとアウェーで違う。Jリーグとは違った展開になる。今日、5-0で勝った結果は忘れてまたやっていきたい」

 準決勝第1戦は10月9日、G大阪のホームで行なわれる。

取材◎佐藤景 写真◎J.LEAGUE

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