前半から攻勢に出る名古屋U-18は、14分にCKから牛澤健が決めて先制する。その3分後に京都U-18の中野桂太に同点ゴールを許し、1-1で試合を折り返すも、後半にはゴールラッシュを披露。早々の42分に倍井謙が左サイドから直接FKを決めると、1分後には武内翠寿が加点し、リードを広げる。さらに61分には再び倍井がゴールネットを揺らして4点目。アディショナルタイムには途中出場の松本皐誠がダメ押しの5点目を奪い、大勝して7月31日の決勝(18時・味の素フィールド西が丘)へと駒を進めた。

上写真=43分にチーム3点目を決めて喜ぶ名古屋U-18の武内(写真◎サッカーマガジン)

■2019年7月29日 第43回日本クラブユース選手権(U-18)大会 準決勝(40分ハーフ)
京都U-18 1-5 名古屋U-18
得点者:(京)中野桂太 (名)牛澤健、倍井謙2、武内翠寿、松本皐誠

「ゴールへの道が見えた」

 名古屋U-18の2年生FWが、チーム初となる決勝への切符を手繰り寄せるゴールを決めた。MF倍井謙の勝ち越しゴールからわずか1分後、その倍井からのパスを右サイドで受けた武内翠寿がペナルティーエリアに進入。右足で切り返して相手DFをかわし、左足を振り抜いた。

「(対峙した)ディフェンダーが飛び込んでくる選手だということは把握していたので、相手を見て、いつもより早いタイミングで仕掛けたところ、やはり飛び込んできた。あの形をいつも練習しているし、切り返して左足で打つときにはもう“ゴールへの道”が見えていたので、あとは流し込むだけでした」

 左足から放たれた美しい放物線がゴールへと吸い込まれ、京都U-18を突き放す3点目が名古屋U-18に入った。得点後には、尊敬するクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)のゴール・パフォーマンスを披露。「立ち上がりからサンガはぐいぐい来ていたけれど、自分たちもアグレッシブなサッカーをしました。最終的には技術云々より、気持ちの面で上回れたんじゃないですかね」。チームの雰囲気を盛り上げ、勝利へとつなげた。

 榊原杏太、光田脩人、松本皐誠らがそろうFW陣は「誰が出てもおかしくない」と古賀聡監督が話すほど、チーム内での競争が激しいポジションだ。その中で、今大会はグループステージ初戦の大宮U18戦(○1-0)から全試合でスタメンに名を連ねている。2節広島ユース戦(△1-1)と3節神戸U-18戦(○4-1)では2試合連続で得点を挙げた。

 ただ、決勝トーナメントに入ってからの2試合ではゴールから遠ざかった。準々決勝の東京Vユース戦(○2-0)は、地元の群馬県で行なわれた今大会最後の試合。友人や家族が見守る中、「気持ちが高ぶっていたので、その中でいかに空回りしないで自分のプレーを出せるか」と臨んだが、シュートは相手GKの好守にも阻まれ、得点を奪うことはできず。「自分のストロングポイントである(相手の)背後をスピードで突くことだったりは、本数的には少なかった。そういうところは課題だと思うので、次に生かしていきたい」と、反省していた。

 そのため、「常にゴールを意識しているので、次(準決勝)は決めます」と、準々決勝後に自身初となる西が丘の舞台でゴールを挙げることを宣言していた。「自分自身の持ち味をどんどん出して、点を取って、最後はしっかり結果を残して、チームに貢献できれば一番いいと思います」。準決勝京都U-18戦のゴールは、まさに『予告通り』だった。

「発言したことは、確実に残りますからね。でも、このゴールはまだ、優勝への過程に過ぎません。決勝でもここ(西が丘)で、得点できれば一番いいです。次も決めます」

『有言実行』のストライカーが再び、チームを“夏の日本一”へ導くゴールを宣言した。

取材◎小林康幸

関連記事

サッカーマガジン 2019年9月号


This article is a sponsored article by
''.