上写真=大宮戦ではFWフアンマと対峙した水本(写真◎J.LEAGUE)
■2019年7月13日 J2リーグ第22節
大宮 6-0 鹿児島
得点者:(大)フアンマ・デルガド3、吉永昇偉、奥抜侃志、茨田陽生
6失点の大敗。「個の力が足りないことを、自覚した試合」
「負けは負けなのですが、内容としては、サポーターの前でああいうゲームを42試合のうち1試合でもしてはいけないというような、(良くない)ゲーム内容になってしまったと感じています」
大宮戦後、会見場に現れた鹿児島の金鍾成監督はそう話した。シュート数は12対16と、大宮にそれほど劣っているわけではない。そのうち5本は枠内に飛ばしている(大宮は8本)。ただ、スコアを見れば0対6と完敗だった。
大量失点を喫してしまったことについて、センターバックの水本勝成は、「フアンマ選手に(ボールが)入ってうまく落とされたら、奥抜(侃志)選手が出てくる。その大宮の攻撃の形がとても脅威でした」と振り返る。実際にフアンマには5本、奥抜には2本のシュートを打たれ、そのうちの4本をゴールに決められた。大宮の洗練された攻撃に、鹿児島は凌駕された。
その中で、鹿児島はチームの課題が浮き彫りにもなっていた。水本は次のように話す。
「うちが(攻撃しているときに)前に重心をかけているぶん、どうしてもカウンターを食らってしまう。(大宮は)縦に速い選手がどんどん出てくる。2列目の選手たちも攻守の切り替えが非常に早くて、それにうちの選手がついていけず、プレスバックできない。チーム全体として攻守の切り替えが遅いし、1対1で負けるシーンも目立ちました。個の力が足りないということを、僕は自覚した試合でしたね」
ただ、初めてのJ2リーグを戦う鹿児島にとって、この敗戦は後半戦で巻き返すための戦い方を教示したと言えるのかもしれない。
「(大宮は)チームの完成度がかなり高かったし、やっぱりこれが上位のチームなんだな、と。戦い方もしっかりしていて、最後は(試合を)締めていました。そういう意味では、すごく勉強する機会にもなりました。(大宮のような)強い相手にどう戦うかと言ったら、僕たちはチームで戦うしかない。フアンマ選手みたいに強力な選手がいたら、(パスコースに)フタをして、プレスバックでボールを奪うとか、チームのみんなで協力してやっていかなければいけない。今日(大宮戦)はそれぞれの味方を助ける意識がすごく低かったように思うので、みんなで目を覚まして、もう一度戦っていかなければいけないのかなと思います」
水本は大宮戦で得た教訓と向き合い、次戦を見据える。そして金鍾成監督も、「これから選手と一緒に、どうチームとしてこの(大敗の)責任と向き合っていくか。われわれは、そこに進むだけです」と、前を向く。
7月20日の第23節では、最下位に沈む岐阜をホームに迎える。さらにそれ以降は、現在の順位で鹿児島よりも上位に付けるチームとの戦いが待ち受けている。浮上していくためには、それらのチームから一つずつ勝利を挙げていく必要がある。
J2リーグ1年目、勝負の後半戦。そのスタートで喫した大敗を浮上への糧にし、今季のスローガンに掲げる『SURVIVE!』(生き残る)を果たすべく、鹿児島は再出発を切る。
取材◎小林康幸