今回のキリンチャレンジカップで代表初招集となった選手では唯一、トリニダード・トバゴ戦でベンチ入りを果たした19歳のGK大迫敬介。J1広島で正GKの座をつかみ、“飛び級”でA代表に選出された大器は、初めての国際Aマッチで何を感じたのか。

上写真=試合後、観客の声援に応えるGK大迫(写真◎早浪章弘/BBM)

■2019年6月5日 キリンチャレンジカップ2019
日本 0-0 トリニダード・トバゴ

「U-20W杯組に刺激を与えられるように」

 この日、大迫敬介がA代表の一員として豊田スタジアムのベンチに座っていることを、今季開幕前には誰も予想できなかっただろう。19歳の大迫はトップチーム昇格2年目の今季、2月19日のACLのチェンライ・ユナイテッド戦でプロデビューを飾ると、J1でも開幕戦から正GKとして出場を続け、一気にA代表まで駆け上った。目まぐるしい環境の変化について問われ、「どうですかね」と、はにかむ表情にはあどけなさがまだ残る。同時に、複雑な感情も垣間見える。

 キリンチャレンジカップ、コパ・アメリカに臨む日本代表に選出されたことで、ポーランドで開催されているU-20W杯への参加を見合わせることになった。「チームが立ち上がってから、このワールドカップを目標にやってきましたし、そのピッチに立てなかった悔しさはあります」と、素直な気持ちを隠さない。ヨーロッパの地でU-20W杯を戦う日本の試合は、「自分が入ったらどういうプレーをするんだろう、とイメージしながら」映像をチェックし、中でもGK若原智哉(京都)のプレーには大きな刺激を受けたという。

 影山雅永監督が率いるU-20日本代表は、グループ2位で決勝トーナメントに進出し、日本時間の4日深夜、8強入りを懸けて宿敵・韓国と激突した。その頃、大迫は翌日のトリニダード・トバゴ戦に備えて床に就いていた。翌朝、ホテルで目を覚ますと、日本のU-20W杯は終わっていた。

「節目じゃないけど、目標にしていたひとつの大会が終わったので、まずは自分に与えられている環境でしっかりと。U-20(W杯)に行っていた選手にも刺激を与えられるように、と思いながらやっています」

 今度は自分の番――。そう意気込んだトリニダード・トバゴ戦で出場機会は訪れなかったが、“初めて”の体験に心を躍らせた。幼少期から日本代表に憧れを抱いていたという大迫だが、これまで代表戦をスタジアムで観戦したことがなかったことを明かし、「今日がいろんな意味でデビュー戦でした(笑)」と告白。テレビの中の世界が目の前に広がり、「まずはこの代表に入り続けること、そして次のオリンピック、ワールドカップで自分がピッチに立たないといけないと思いました」と、新たな目標を定めた。

「チームでのパフォーマンスを評価されてここ(A代表)に来ていると思っています。練習生ではなく、チームの一員として入れてもらっていると思っているので。今日はダン(シュミット・ダニエル)選手でしたけど、自分がピッチに立って活躍して、しっかりと日本代表のゴールキーパーにならないといけないと思っています」

 6月9日に宮城スタジアムで行なわれるエルサルバドル戦で、大迫はGKとして最年少出場記録を更新できるだろうか。

取材◎多賀祐輔 写真◎早浪章弘/BBM


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