上写真=2試合連続ゴールを挙げた久保建英(写真◎J.LEAGUE)
■2019年5月18日 J1リーグ第12節
FC東京 2-0 札幌
得点:(F)小川諒也、久保建英
シュート技術を発揮してくれた(長谷川監督)
前半からシュート数で5対2と札幌を上回っていたFC東京だが、流れは決してよくなかった。相手の守護神ク・ソンユンに決定的なシュートを3度もはじき返され、攻めながらもペースを握れずにいたからだ。
しかし後半、首位に立つチームは首位に立つ理由をピッチで体現して見せる。59分、右サイドから久保がドリブルを仕掛け、エリア内に進入。これは札幌のCBキム・ミンテに阻まれたが、その後のつなぎで相手が犯したミスを見逃さなかった。ゴール前の混乱の中、宮澤裕樹が逆サイドに展開しようとしたボールを小川諒也がカット。そのままシュートに持ち込み、FC東京が欲しかった先制点を手に入れた。
攻めにかかったときにしっかりと人数をかけていたこともさることながら、相手のミスを逃さない首位チームのしたかかさがその場面に凝縮していた。
さらに69分。今度はタレント力で追加点を挙げる。ピッチ中央をドリブルで駆ったディエゴ・オリヴェイラから右横をスプリントしていた久保にパスが出る。そこからの久保の判断と選択が、ハイレベルだった。
エリア内に入ったところで札幌のDF福森晃斗に正対し、相手ゴールから遠ざけるように左足でボールにタッチ。刹那、福森の出した足を避けるようにシュートを放ち、ネットを揺らした。
相手の重心移動と動きを利用してコースを作り出し、タイミングを見計らってGKの死角からシュートを放ってみせたのだ。
「相手が足を出してきたら、その下を抜いていこうと」(久保)
相手DFの足を出させるボールタッチとタイミングを逃さない非凡な感覚。さらにはその足に触れずにボールを通す鋭い振り。久保がなぜ日本屈指のタレントと言われるのか。その才能を見せつけるゴールだった。
長谷川健太監督は言う。
「きょうはサイドではあまり輝ききれなかったと思いますが、建英のシュート技術を発揮してくれたと思います。きょうはコンディションがあまり、いつもよりは切れはなかったかもしれないですが、あの時間帯(80分)までプレーしてくれたので」
相手の札幌のプレー内容が悪かったわけではない。ただ、首位に立つチームはやはり、首位に立つ理由がある。ミスを逃さぬしたたかさ。そして違い生み出すタレント力。もちろん、この日も90分間通してハードワークを続ける集中力と運動量も発揮した。
2-0で勝利を収めたFC東京は、これで公式戦7試合連続のクリーンシートを実現。リーグ戦に限れば、5試合連続だ。まさしく盤石の戦いぶりで、首位街道をまた前進した。
取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE