上写真=サウジアラビア戦の会場、シャルージャスタジアムで前日練習を行なった日本(写真◎福地和男)
決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)が日本時間の今夜20時に行なわれる。相手はサウジアラビア。これまで何度も激闘を繰り広げてきた相手だ。長友佑都は難しい試合になると警戒しながらも、「決戦」に向けた気持ちの高まりを口にした。
「だから代表は辞められない」
サウジアラビア戦を翌日に控えて、長友は高まる気持ちを率直に口にした。
「心と体がホクホクしてます。何とも言えない(気持ち)ですね。ホクホクという言葉が合っているか分からないですけど、もうだいぶ温まってます。やっぱりこのプレッシャーがあるから日本代表に残り続けたい、ここでプレーし続けたいと思います。これが醍醐味なんですよ、日本代表の。本当にしびれますよ、日の丸背負って生きるか死ぬかの戦いですからね、トーナメントは。アジアで勝たなきゃいけないというプレッシャーを背負いながら。これを背負って戦えるというというのは、もうワクワクを超えてホクホクですね」
重圧を、勝利を目指す原動力に変換する経験と強さが長友にはある。では、ほかの選手たちはどうなのか。
「もちろん(重圧を)感じていると思います。日本代表を背負ってますから、日本を背負ってますから。そんな簡単に言えないレベル(のこと)ですよ、日本を背負うっていうのは」「今日も練習の雰囲気もかなり引き締まっているし、それは予選(グループステージ)とは比べ物にならないほど。それでもやられてしまうのがアジアカップの怖さですよね。本当に地獄を見るか天国に行けるか、これはもう自分たちがどんなときもブレない、90分間、ブレずに戦えるかどうかというところだと思います」
現在のFIFAランクで言えば、日本の50位に対し、サウジアラビアは69位。日本優位にも映るが、一昨年のW杯アジア最終予選で敗れた際の印象が強く、長友は警戒感を強めた(2017年9月5日/0-1)。
「FIFAランクは僕の中ではあってないようなものなので。実際に最終予選のオーストラリアに勝ってアウェーに乗り込んだじゃないですか。あのとき、(サウジ相手に)僕ら何もできなかったですからね。正直、めちゃくちゃ強いなと思ったし。完全アウェーの状況で僕らも(W杯出場が)決まった後というのはあったんだろうけど、ボールもずっと持たれていたし、全然、取れなかった。『こいつらうめえな』と思った。正直、身体能力で何とかしてくる、荒削りのイメージがあったんですけど、そうじゃないですよね。今回分析しましたけど、めちゃくちゃつないできますよ。その中で、メンタル的な疲労が一番怖いんですよね。体が動かなくなるんで結局。ボールを持たれて、守備しなきゃいけないという中でプレーしていると、メンタルと脳も疲労してくるので」
とくに警戒する選手として名前を挙げたのが、前回の対戦で決められたファハド・アルムワッラドだ。長友がマッチアップする可能性もある。
「最終予選で(ゴールを)取られた選手は、あれ、スピードモンスターですよ。めちゃくちゃ速いんでね。あそこはケアしなきゃいけないですね。常にチームとして狙ってくるんでね。本当に速いですよ」
負ければ終わりの一発勝負。怖さは確かにある。ただその一方で、成長には欠かせない試合であり、その内容いかんで、今後の日本の歩みが見えてくるとも長友は話した。
「たぶん、(サウジ戦は)日本代表が成長していくかどうかの、ターニングポイントになると思っていて、今まで親善試合にしても、アジアカップの予選にしても、正直、負けてもまだ可能性があるという中で戦えたじゃないですか。でも、これは負けたら終わりなんで。このプレッシャーを背負ってピッチに上でどういうプレーをするか。それがその選手の、サッカー選手としてだけじゃなくて、パーソナリティーの部分も含めて、レベルが見られるんじゃないかなと。ただ、こういうプレッシャーの中でやっていかないと。動物でもサバンナで暮らしている動物と、全然危険性のない場所で暮らしている動物とでは、やっぱり研ぎ澄まされ方、洗練のされ方が違いますから。こういう厳しいところで結果を残すかどうか、生きるか死ぬかの戦いをしていかないと、人の成長はないですよね」
今夜20時。長友が言う「日本が成長していくどうかのターニングポイントになる」試合がキックオフされる。
写真◎福地和男