上写真=ボランチでボールを裁き、試合をコントロールした三竿
写真◎Getty Images
「ペースを乱してしまうともったいない」
日本は前半開始早々の2分に山中亮輔のゴールで先制し、19分にも原口元気がFKを決めて、2点のリードを奪う。前半のうちに3点目、4点目を狙って、さらに畳み掛ける選択肢もあっただろう。だが、三竿健斗は冷静だった。
「縦パスも狙いたかったけれど、相手もそれを狙っているのが分かっていたので、横に振りながら焦れずにやれていたと思う。相手が(前から奪いに)来ているわけでもないし、自分たちが優位にボールを持っていたので、そこでペースを乱してしまうともったいない。余裕を持ってやりました」
試合中、三竿が「縦パスは狙われているから、なかなか出せないので、横に振りながらやっているんですけれど、どうですか」と森保一監督にたずねると、指揮官も「大丈夫。今のまま続けていこう」と、その状況判断に賛同したという。
三竿は59分に柴崎岳と交代。自身の出来について、「普通じゃないですか。特に仕事をしたわけでもないし、早い段階で代わったので。あまり評価するところはないかなという感じですね」と、やや物足りない表情も浮かべた。
確かに目立ったプレーはあまりなかったかもしれない。だが、やみくもに攻撃を仕掛けるばかりでなく、冷静に相手の意図を読み、それに応じて最善のプレー判断を下す三竿の存在が、試合を優勢に進める上での潤滑油ともなっていただろう。
「ここ(日本代表)で得たこと、チャレンジしたいことを鹿島でもやって、自分が選手として、どんどんステップアップできればいいなと思います」
日本代表の定位置をつかむために、三竿はさらなる進化を目指す。
取材◎小林康幸