※写真上=スピードを生かした切れ味鋭いドリブルを武器にする名古屋の特別指定選手・相馬
写真◎J.LEAGUE PHOTOS
■2018年10月19日 J1リーグ第30節
柏 0-1 名古屋
得点者:(名)前田直輝
リーグ戦も終盤に差しかかるなか、いまだ残留争いから抜けられない柏と名古屋。J1残留のために負けらない両者の一戦は、アウェーの名古屋が先制する。35分、ガブリエル・シャビエルのクロスに前田直輝が左足で合わせ、0-1で前半を折り返す。後半は、同点を狙う柏に攻め込まれるシーンが増えるも、CB丸山祐市を中心とした守備陣が踏ん張り完封。名古屋が敵地で勝ち点3を手に入れた。
日本代表MFと対峙し、差を痛感
【動画】名古屋が前田直輝のゴールを守り抜き、敵地で勝ち点3獲得!(J1第30節・柏vs名古屋ハイライト)
名古屋が1点リードで迎えた80分。先制点を挙げた前田直輝に代わり、MF相馬勇紀がピッチへ投入された。
背番号47は、風間八宏監督に「自分のやるべきことをやってこい」と送り出されたが、この日のポジションは3-4-2-1の左ウイングバック。慣れないシステムとポジションに、「最初の2、3プレーは良かったけれど、途中から感覚のズレなどが出た。自分の武器を生かすために、攻めたい意識はあったけれど、3バック(のシステム)なので、(ボールを)取られたときにスペースに戻らなければいけない、でも戻りすぎても攻められない。もう少し(システムに)順応できなければいけなかった。今まで(名古屋で出場した試合)で、一番悔しさが残る試合だった」と、顔をしかめる。
また、名古屋で途中出場するのも、リーグ戦では9月1日の25節磐田戦(○6-1)以来と、およそ1カ月半ぶりのこと。「シュートを打って(相手選手に)ブロックされてしまったり、(ゴール前に味方が)一人しか入っていないのにクロスを上げてしまった場面もある。スコアと時間帯をもっと考えてプレーできないとダメだと感じた」と、反省しきりだった。
それでも、日の丸戦士とマッチアップし、向上心をかき立てられた。「伊東純也選手はスピードがある。いずれは自分も代表戦のピッチに立って、(日本代表を)引っ張っていく存在になりたい。そういう大きな目標を持っているので、(Jリーグでの対戦では)負けたくない思いもある」と、自らと同じくスピードを持ち味とするライバルに闘争心を燃やす。
「対人は(自身の)得意なプレーでもあるけれど、何度か(クロスを)上げられてしまった。1、2回だけは抑えられたけれど、そこを全部抑えられるくらいにまでレベルアップしなければいけない。自分もスピードには自信があるけれど、もっと速い選手がいるということ」と、伊東との1対1では現状の実力差も痛感したが、「スピードで(他の選手を)圧倒できるレベルになるまで、まだ全然(力が)足りていないので、もっと向上できるように日々成長していきたい」と、前を向く。
そして、この日の悔しさを晴らす舞台は、早くも翌日に待ち受けているのかもしれない。名古屋の特別指定選手である相馬は、現在は早稲田大の4年生。関東大学リーグへの出場資格も持ち、この翌日には国士舘大戦(10月20日14時・江戸川区陸上競技場)が控えている。本人は「出たいです!」と意気込む。
「大学では最後の年。個人的にはアシスト王の歴代記録(17アシスト)を塗り替えられるチャンスがあるので、今11アシストなんですけれど、その記録を超えたい。それに、得点も取れてきているので(6得点)、10得点も目指していきたい」と、リーグ戦6試合を残す早稲田大での活躍も誓う。
「(柏対名古屋の試合後に)関東に後泊して、もし明日は予定がない名古屋サポーターの方がいましたら、(早稲田大の試合にも)ぜひ足を運んで応援していただければ幸いです!」
Jリーグと大学サッカー。二足のわらじを履く、最初で最後のシーズンを送る相馬は、これからもますます進化する。
取材◎小林康幸