セネガルとの決戦前日。練習を見守る西野朗監督(写真◎福地和男/JMPA)
コロンビア戦に勝利した日本はまだ1試合消化の時点だが、グループHの首位に立った。明日のセネガル戦に勝って、決勝トーナメント進出にグッと近づきたいところだがーー。
エカテリンブルクアレナで前日に会見に臨んだ西野朗監督は冗談を言うほど落ち着いていた。そのうえで、セネガル戦にどのようなスタンスで臨むかを冷静に語った。
ほかのアフリカ勢とは違う
第1戦を終え、その戦いぶりからグループH最強と言われているセネガルを、日本はどう攻略するつもりなのか。記者の質問はその点に集中した。まず、セネガルの強みについて、どう考えているのか。
「スピードだけではない、選手たちと警戒しているところはオーガナイズされているところ。個々の強さ、速さというものを生かすためのディフェンスの組織されたところを見ています。非常にディシプリン(規律)もあり、チームとしての組織的なところを警戒しています」
いわゆるアフリカのチームとは一線を画す。規律があり、集中力を欠くこともない。指揮官が抱いているのも非常に洗練されたチームとの印象だ。
セネガルの指揮官、アリゥ・シセ監督に言わせれば、「アフリカの国々がヨーロッパや日本に比べて規律はないと思わない。サッカーには規律が必要だから」となるが、組織だった守備と自分たちの強みを生かす戦略が徹底され、それを遂行する能力についてはアフリカの国々の中でも群を抜く。
では、セネガルに死角はないのか。西野監督は海外メディアの質問にジョークを交えて答えている。
「ここ数日、セネガルに対してわれれわのチームの乾(貴士)、大島(僚太)に、5キロ増量せよ、5センチ身長を伸ばせという調整に失敗したので、それ以外のところで対応しなければならないと(会見場で笑いが起こる)。
ボールを持てれば、セネガルに対抗できるという考えもある。軽い体、軽い頭の中でも考えたいところがたくさんあって。その点を選手たちには言っている。やはり肉体的なコンタクトが多くなるゲーム展開ですと不利な状況になる。いろいろと変化をし、想定していないところのクイックネスを生かしたりとか、ボールをしっかり動かす中で、対抗していく。なかなか(セネガルの)ウイークポイントは見つからないので、頭の中を整理しながらしっかり考えていかなければならない」
やはり合宿地のカザンでも話していた通り、ボールの動かし方(速いパス回し)に活路を見いだしているようだ。また、守備についても「(セネガルは)グループでのディフェンスを考えてもそういう状況を破壊してくるような選手が存在するので。個の力で粉砕する選手に対応しなければならない。直線的なプレーが攻撃の中ではベースにあると思うので、われわれは、しっかり(攻撃を)遅らせる、止めるという、推進力を抑える対応を考えなければならないと思っています」と守備の原則にのっとって、対応する考えがある。
相手との相性や力関係を考慮すれば、残り2試合のうち1勝を挙げられればいいわけで、展開次第で割り切った判断もありだと思うが、指揮官はあくまでセネガル戦で決めたいと強調する。
「怖れるということは全くありませんし、われわれのチーム力に自信をもってやりたいなと思います。ここ数日、選手と準備をしてきたので怖れるというよりは楽しみを持ちたい。どう対応していくかというところを、明日見せたいと思います。
コロンビア戦のハーフタイムも、『引き分けでいいんだぞ。そんなに無理しなくても』という声が選手から飛びました。でも私はこれは勝たなきゃいけないゲームであるし、勝てるゲームだと。そういう中で勝ちに行く戦術、戦略を選手に与えて(後半に)送り出しました。そして、いま首位に立っています。それで、3戦目に(突破がかかる状況に)なれば、それは敗者復活(みたいな)のゲームだと。そのことは翌日に選手たちに伝えました。リスクを冒しても勝利を目指す、目指させるのが今なのではないかと思っています」
日本が狙うのはあくまで勝ち点3。連勝で16強入りを目指す。
文◎佐藤 景 写真◎福地和男/JMPA