5月24日、千葉県内で行なわれている日本代表合宿は4日目を迎えた。前日までにすでに合流していた本田圭佑らはミニゲームなどで汗を流すなか、ヘタフェ(スペイン)でプレーする柴崎岳に加え、昌子源、植田直通、三竿健斗(いずれも鹿島)、山口蛍(C大阪)、大島僚太(川崎F)といったこの日から合流した選手たちは、タイム走などのメニューをこなした。また、20日の名古屋戦で脳震とうを起こした中村航輔(柏)も、別メニュー調整ながら練習場に元気な姿を見せた。
「1年間でこう変わるかと・・・」。激動の1年を過ごした急成長株
「(合流初日なので)そんなに動いていないけれど、見学されている人たちの数からして、注目度が高いと感じました。今日も別メニューだったので、(西野朗監督とは)あまりまだしゃべったことがないけれど、物静かな方なのかな、とは思います」
“西野ジャパン”での最初のトレーニングを終えた三竿健斗は、静かにそう振り返った。22歳のロシア行きを懸けた挑戦が始まった。
「(ワールドカップ出場は)現実味はなかったけれど、目標としては持っていました。遠いところではありましたけどね」。1年前の自身について感慨深そうに話す。「1年間でこう変わるかと、自分でも感じている」というほど、三竿のシンデレラストーリーは急速に綴られた。
昨季の序盤、石井正忠前監督体制下だった鹿島では、ほとんど出番を得られずにいたものの、2017年5月31日に大岩剛監督が就任すると、指揮官の信頼を勝ち取り、レギュラーポジションを手に入れた。J1優勝争いにACLといった経験をピッチ上で積み、昨年末のE-1選手権で代表初招集。3月の欧州遠征でも2試合に出場するなど、代表でのキャップ数を少しずつ伸ばしてきた。
ただ、ロシアへ行く23人のメンバーに選ばれるには、ここからさらなる競争を勝ち抜かなければならない。「(相手から)ボールを奪いにいくこと、中盤でボールを拾うことが武器。そういうところで勝負したい」と、今回の“サバイバル合宿”に向けた意気込みを語る。
「(合宿では)“結果”がどうであれ、自分の能力を最大限に出すことが大事。個人として、僕が(本大会メンバーに)選ばれるかどうかということもそうだし、チームとしては(5月30日の)ガーナ戦にしっかり勝つことで、次も良い状態で臨めると思う。(J1とACLの)連戦が終わって、オフがあってリフレッシュできたから、戦う準備はできているつもりでいます」
1週間後に迫った本大会メンバー発表に向け、人事を尽くして天命を待つ――。ボランチの急成長株が、ロシアへの切符を懸けた最後の競争に臨む。
取材◎小林康幸 写真◎Getty Images