3月27日から29日までの3日間にわたり、神奈川県茅ヶ崎市の柳島スポーツ公園と、同県平塚市の馬入ふれあい公園サッカー場を舞台に『U15キリンレモンCUP』が開催された。決勝戦では、滋賀県出身の中井卓大が所属するスペインのレアル・マドリード・カデーテB(U-15チーム)が、湘南ベルマーレU-15を2-0で下し、記念すべき第一回大会の王者に輝いた。3位決定戦では大宮アルディージャジュニアユースがMF相澤亮太の挙げた1点を守り切り、セレッソ大阪U-15を破って3位となった。

■決勝戦
レアル・マドリード・カデーテB 2-0 湘南ベルマーレ
得点:(レ)ブルノ、マニャス
(前後半30分ハーフ)

優勝に笑顔を見せるレアル・マドリードの“ピピ”「自分の国の大会で優勝できてうれしい」

画像: ピピこと中井卓大(中央)ら、喜ぶレアル・マドリード・カデーテBの選手たち

ピピこと中井卓大(中央)ら、喜ぶレアル・マドリード・カデーテBの選手たち

スペインを代表する強豪クラブとしての貫録を見せた。
「使命を果たせた。我々は良い選手を集め、“レアル・マドリードのスタイル”で練習を重ねてきた。それが、この大会での優勝という結果につながったと思う」
2シーズン連続でUEFAチャンピオンズリーグを制すなど、“世界最高クラブ”との呼び声も高いレアル・マドリード。その15歳以下のチーム“カデーテB”を率いるペドロ・サンチェス監督の言葉には、気高さが漂っていた。

日本では中学生年代にあたる選手たち。ほとんどがスペイン人とはいえ、彼らの表情にはあどけなさが残る。それでも、ピッチ上で見せるプレーは“白い巨人”そのものだ。
大会MVPに輝いたMFブルノは、まるでピッチ上の支配者であるかのように、10番を背負って堂々と、優雅にピッチを舞う。

得点王となったFWサラは持ち前のスピードを生かし、瞬く間に得点チャンスを生み出す。「ここには優勝という一つの目標を持ってやってきた。決勝では監督や観客が求めるプレーを見せることができたと思う」と、胸を張る。

そんな実力者揃いのチームのなかでも、試合前のスターティングメンバー発表時に一際大きな歓声を浴びていたのが、“ピピ”ことMF中井卓大だった。
日本人として初めて“エル・ブランコ”のシャツに袖を通し、背番号14をつけてインサイドハーフでプレーした。

決勝ではゴールチャンスに絡めなかったが、日本でプレーしていたときから備えている卓越した足技に加え、スペインで磨かれた的確な判断力でパスを裁き、チームの歯車となった。42分に交代でピッチを退くまで、勝利を目指すチームの中盤を支え、優勝が決まると「自分の国である日本で良い試合ができて、優勝できたのでよかったです。家族も来ていて、うれしかった」と、満面の笑みを見せた。

「Estamos muy contento por la victoria del torneo. Y ademas es un gran torneo en mi pais, estoy muy contento. Hala madrid!!」
(僕たちはこの大会で優勝できたことに、とても満足しています。そのうえ、自分の国の偉大な大会の一つなのだから、個人的にもすごくうれしい。レアル・マドリード万歳!)

“泣き虫”だったことが由来で“ピピ”と呼ばれた少年は、その成長ぶりをプレーで示すだけでなく、優勝の歓喜に高ぶる思いを流暢なスペイン語で響かせていた。

準優勝にも手ごたえを得た湘南U-15・竹田舜「レアルに勝る部分もあったと思う」

画像: レアル・マドリードを相手に奮闘した湘南U-15の竹田舜キャプテン⑩

レアル・マドリードを相手に奮闘した湘南U-15の竹田舜キャプテン⑩

決勝は、レアル・マドリードとの再戦となった。大会の開幕戦となった初戦では2-2と引き分けたものの、「初戦とは違った。レアル(・マドリード)の選手はみんな、日本の環境に慣れて、スピードも速くなっていた。厳しいゲームになった」と、湘南U-15を牽引するMF竹田舜は唇を噛んだ。

地元・湘南で行なわれた大会で決勝に進み、優勝を懸けてレアル・マドリードと戦う――。最高の舞台が整った。
「この舞台で楽しんでプレーしよう」。竹田を中心にそう声をかけ合って、決勝に臨んだ。
0-2で敗れるも、「いつも通り、みんなで声をかけ合って、後ろからボールをつないだ。サイドからはクロスを上げて、何度か惜しいシーンも作れた。そこは世界に通用したかな。ベルマーレの選手はみんな、相手が誰であってもしっかりやろうという気持ちを強く持っていた。そこで(レアル・マドリードに)勝る部分もあったのだと思う」と、自信も手に入れた。

浮嶋敏監督が「レアルは勝負どころで得点を取る力があるなと感じた。選手個々もそうだし、チームとしても勝負どころを見極める力がすごくあった。うちはそこで止められなかった。それが差なのかなと思う」と振り返ったように、世界の強豪との差をなくすために、まだまだ改善すべき課題は多い。

それだけに、ピッチでそれを体感した竹田は、今後のさらなる成長を誓う。
「この3日間、個人としても、チームとしても成長した。良い経験になったと思う。これを糧に、これからも頑張っていきたい」

レアル・マドリードとの2試合で味わった悔しさと、そのなかで見いだした確かな手ごたえを胸に刻み、湘南U-15の選手たちは、また新たな目標に向けて前進する。
 

■最終順位(上位4チーム)
優勝 レアル・マドリード・カデーテB(スペイン)
準優勝 湘南ベルマーレU-15
3位 大宮アルディージャジュニアユース
4位 セレッソ大阪U-15
 

 
文◎小林康幸 写真◎Getty Images
 



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