画像: 静かな口調ながら、10年ぶりの頂点へ向けて強い決意を語った

静かな口調ながら、10年ぶりの頂点へ向けて強い決意を語った

アジアの頂点に立ってから10年――。前回のACL優勝を知り、今もチームに在籍している選手の数は限られる。キャプテンマークを巻き、チームを引っ張る阿部勇樹もその一人。今季、ベスト8に進み、10年ぶりの頂点を狙うキャプテンに話を聞いた。

もう終わったことだから

2007年のACL初制覇メンバーに直撃すると、思わぬ答えが返ってきた。

「優勝の味は、ほとんど覚えていない」

阿部勇樹は加入1年目。決勝第2戦でも勝負を決定づけるダメ押しゴールをマークした。大会を通し、センターバック、ボランチ、アウトサイドとあらゆるポジションをこなし、優勝に大きく貢献したと言っていい。キャリアの中でも栄光の1ページのはずだ。

取材時に当時の表彰式の様子を収めた写真を眺めると、感慨深そうにひと言。
「スタジアムの雰囲気は最高だったよ」
それから、3秒ほど沈黙した後、きっぱりと言い切った。

「もう終わったことだから。過去のことは振り返らないので。特に勝った試合はね」

阿部勇樹が思い出すのは、決まって負けた試合ばかりだという。敗因を探り、練習に落とし込んで、次の試合に臨む。ずっと、その繰り返しでキャリアを積み上げてきた。史上最年少(当時)の16歳と333日でJリーグデビューを果たしてから35歳になった現在まで、この考え方は変わらないという。そして、負けるたびに強くなってきた。

こちらが10年前のことに話しを戻すと、「やっぱりあんまり覚えていない」と笑った。

「だから、もう1度優勝して確認するよ」

そのときには、優勝記念インタビューをお願いしたいとこちらが打診すると、いたずらっぽく笑う。

「きょうは1年分、話したでしょ?」

背中でチームを引っ張るキャプテンの言葉は少し大げさかもしれないが、胸の内に秘めていた思いを今回のインタビューで聞くことができた。

7月24日に発売される月刊サッカーマガジンのインタビューで浦和でプレーすることの意味、ACLの出場することの意義などを語っている。ぜひ、確認してほしい。

(インタビュー取材◎杉園昌之/写真◎近藤俊哉)


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