上写真=レイソルアカデミーで成長し、ポルトガルの強豪ベンフィカ加入が決まった小久保
写真◎サッカーマガジン
小学生時代はフォワード
長い手足と強靭なバネを生かして、敵の強烈なシュートをセーブしたかと思えば、最後尾でビルドアップの起点ともなる。柏U−18の守護神には世界基準の風格が漂っている。
「自分の体格と、身体能力を生かしてセービングすることを意識している。攻撃では、自分が関わることによって空いてくるスペースがあるので、つねに良いポジションを取り続けて、ちょっとでもバックラインをサポートできればいいかなと」
味方からのバックパスを難なく止めて、蹴る技術は、「フォワードをやっていた」という小学生時代から培ってきたもの。当初はFWとして、精鋭が集うレイソルアカデミーの門を叩いたことからも、その技術力の高さがうかがえるだろう。
だが、ある人物との出会いが、小久保玲央ブライアンの人生を大きく変えた。「ブライアンを育てたい、と言ってくれていたらしいんです」。その思いを抱いていたのは、当時アカデミーのGKコーチを務めていた井上敬太・現トップチームGKコーチだ。「レイソルに来て、『キーパーやる?』って言われて。そんな考えは一切なかったから、最初は驚いたんですけれど、今こうして試合に出られていることを思うと、ありがたいことでしたよね」と、感慨深そうに当時を振り返る。
それからは、井上コーチとGKのトレーニングを重ねた。「毎日、自分にきつく指導してくれたり、時にはミーティングルームで、自分の将来について考えてもらったりもしました」。思春期の小久保にとって、井上コーチは大きな存在となっていた。
「ケイさん(井上コーチ)に、恩返しがしたい」
その思いを果たすためにも、偉大なGKになることを志す。日の丸を背負い、日本代表のゴールを守ることが、小久保の大きな目標だ。これまで世代別代表に名を連ね、昨年8月にもSBSカップに参加するU−18代表に選ばれた。それでも、視線の先にあるのは、あくまでA代表の舞台だ。
「U−18代表、U−19代表と選ばれ続けなければいけない。飛び級も意識している。そして、最終的にはA代表にたどり着きたい」
その思いは、日立台で一緒に練習する身近な存在によって加速する。
「自分がいつもお世話になっている(伊東)純也くんが結果を残している。すごいと思うし、憧れるけれど、自分もあの競争に早く入りたい思いが強い。それに、練習を一緒にやっている(中村)航輔くんを超えなければ、自分がA代表に入るという夢も叶わない。今は後ろから追いかけている状況ですけれど、いつか抜きたいという思いはあります」
1月29日、クラブからポルトガルの強豪ベンフィカヘ加入することが発表された。本人も公式ホームページを通して「サッカーを始めた時からの夢であるプロサッカー選手と同時に海外でプレーしたいと思っていた夢が叶って、大変嬉しく思います。いつかレイソルに戻れるような時が来たら、ファン・サポーターの皆様に喜びを届けられるように日々努力していきたいと思います」(一部抜粋)とコメントしている。
さまざまな思いを胸に、ポルトガルの地でさらなる高みを目指す小久保の進化は止まらない。
取材◎小林康幸
小久保玲央ブライアン[GK/柏レイソルU−18/3年]
こくぼ・れおぶらいあん/2001年1月23日生まれ、柏レイソルU−15出身。セービングとビルドアップ技術が売りの長身GK。ナイジェリア人と父と日本人の母を持つ。高校卒業後はポルトガルのベンフィカに加入する。191cm、81kg