上写真=イスラエル戦に向けたトレーニングを行う松木玖生(写真◎飯尾篤史)
結果でチームを助けたい
決勝ゴールを叩き込んだU-20ワールドカップ初戦のセネガル戦のあと、キャプテンの松木玖生は「大舞台に強いのが自分」と胸を張った。
青森山田高1年次の選手権準決勝の帝京長岡戦や3年次の選手権決勝の大津高戦、あるいは21年のU23アジアカップ予選初戦のカンボジア戦や今年3月のU20アジアカップのサウジアラビア戦……と、ここ一番でゴールネットを何度も揺らしてきた。
だが、明日に控えるイスラエルとの第3戦で問われるのは、もうひとつの顔ーー逆境に強い松木玖生だ。
第2戦のコロンビアに敗れ、連勝で決勝トーナメント進出を決めることはできなかった。次戦は引き分けでも突破できる可能性が高いとはいえ、苦しい状況に追い込まれたとも言える。松木自身はそのコロンビア戦でPKを失敗し、苦い思いを味わった。
果たして、どんな心境でイスラエル戦を迎え、どんなメンタリティで臨むのか。
「たぶん昔の自分だったら、『自分が、自分が』っていうふうになると思うんですけど、それでうまくいかない経験もしているので。だからイスラエル戦では周りに生かされつつ、自分も周りを生かしていけるようなプレーをしたい」
あくまでも平常心でーー。キャプテンとしてチームメイトに求めるのも、普段通りのプレーだという。
「普段と変わらない試合運びをしたいと思いますし、チームメイトにも『焦ることなく自分たちらしいサッカーをすれば絶対に勝てる』と伝えていきたいと思います」
フィジカルやスピードに長けていたセネガルやコロンビアと異なり、イスラエルはビルドアップを大事にする、いわば日本と似たようなチーム。相手の特長はすでに分析済み。松木の頭の中にはイスラエル戦の試合展開と、攻略のイメージが描かれていた。
「自陣からつないでくるチームなので、自分たちとしては前でうまく引っかけてショートカウンターを狙いたい。後半に失速する傾向も見えたので、最後まで得点を狙い続けることを意識したいと思いますね。イスラエルの試合を見ると、日本が90分しっかりとボールを握られそうな感じがするので、そういうサッカーを求めたい。個人的には先制点が取れるかどうかと、前後半の立ち上がりが重要だと思っています。せっかく先制しても後半15分でゴールを許すと相手に勢いを与えてしまう。だから、前後半の入りはしっかり締めたいと思います」
試合のすう勢を読み、プレーとコーチングでチームを引き締られることこそ、松木がキャプテンであるゆえん。そして言うまでもなく、期待に応えられる男でもある。
「自分自身、結果をすごく求められていると思うんで、そこでチームを助けたいという思いもあります」
毎試合ゴールを決めることがモットー。そうサラリと言ってのけるエースが若き日本代表を決勝トーナメントへと連れていく。
取材・文◎飯尾篤史